自動車保険の免責とは?仕組みや金額設定を検討するときの考え方
自動車保険の契約では、「免責」という言葉が出てきます。よく意味は分からないものの、保険担当者に任せておけば大丈夫と思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、意味も分からないまま契約してしまうのは危険です。
そこでこの記事では、自動車保険で使われる「免責」とは何のことなのか、詳しく解説します。免責の意味をしっかりと理解しておけば、いざというときに本当に安心できる保険を組み立てられるでしょう。自分に合った保険を選ぶ際の判断材料にもなります。
※目次※
・自動車保険でいう免責とは、保険会社が保険金の支払いを免除されることで、保険金が支払われない特定のケースは「免責事項」で定められている
・保険金が支払われる場合にも自己負担分として「免責金額」が決まっており、免責金額を高くすることで保険料を安くできる
・車の型式によっても保険料は左右されるため、車を乗り換えることで保険料が安くなるケースもある
自動車保険でいう「免責」とは
「免責」という言葉は保険だけでなく、さまざまなシーンで使われる言葉です。ここでは自動車保険で使われる「免責」とは何のことなのか、その意味を解説します。
「免責」は実際に事故が発生した場合の保険金支払いに直接関係してくる言葉であるため、きちんと理解しておくことはとても重要です。
補償が受けられない範囲を指す
「免責」という言葉には「責任を免ずること」または「責任を問われるのをまぬがれること」という意味があります。自動車保険の契約時にも使われる、重要度の高い言葉です。
保険事故が発生した場合には、保険契約により保険会社が保険金を支払うことになっています。しかし、特定の条件に該当した場合は例外です。その義務を免れることになる、つまり保険金を支払わなくてよくなります。これが自動車保険でいう「免責」です。
「免責事項」と「免責金額」を確認しよう
自動車保険を契約する際には、「免責事項」と「免責金額」という2つの言葉がよく使われます。意味を理解せずに保険を契約してしまうと、いざ保険金を請求というときに支払われないケースも出てくることがあります。
「免責事項」と「免責金額」、それぞれの意味を整理しておきましょう。
免責事項 |
・保険会社が保険金を支払わない特定の事項、ケースを指す ・重要事項説明書や約款に明記してあるため、確認が必要 |
免責金額 |
・車両保険による保険金の支払いに際して、保険契約者が自己負担する金額のこと ・金額は保険内容によって異なる |
自動車保険に入っているからといって、事故により必要となる費用全額がいつでも保険会社から支払われるわけではないことを理解しておきましょう。
免責事項が設定される自動車保険の種類とは?
免責事項は保険金が支払われない特定の事項・ケースのことです。免責事項の多くはすべての保険契約に適用される共通項目であるため、保険金額によって変わるということはありません。
ここでは一般的な免責事項を自動車保険の種類ごとに解説します。詳細は保険会社によって異なるため、契約前によく読み込み、不明点があれば担当者に確認することが必要です。
車両保険の免責事項
車両保険とは、車にかける保険のことです。交通事故や災害、第三者によるいたずらなどトラブルの要因はさまざまですが、 車両保険に加入していれば修理が必要になった際に保険金が支払われます。
車両保険を掛けていても保険金が支払われないケース、つまり「免責事項」の詳細は保険会社によって異なりますが、よくあるものは以下のとおりです。
【車両保険の免責事項】
・故意に起こした事故 |
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・重過失による事故 |
酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、30km以上の速度違反(一般道) |
・薬物を使用しての運転 |
|
・地震や津波、放射能事故、火山の噴火などにより発生した損害、およびそれに伴う秩序の混乱によって発生した事故や故障による損害 |
|
・タイヤのみに生じた損害 |
対人賠償責任保険の免責事項
対人賠償責任保険とは、人身事故を引き起こした場合、被害者に対する賠償債務を填補する保険のことです。自分が引き起こした事故により誰かにけがをさせてしまう、場合によっては命を奪ってしまうことも考えられます。
その場合、加害者はその賠償責任を負うこととなり、その賠償に対人賠償責任保険から保険金が支払われるというものです。このことが免責事項として定められています。「一定の関係」とは以下のようなものです。
対人賠償責任保険から 保険金が支払われない人 |
詳細 |
記名被保険者 |
・保険契約者本人 |
被保険自動車を運転中の者、その父母、配偶者、子 |
・「父母」は、実父母、養父母を含むが、義理の父母は含まない ・「配偶者」には内縁の夫、妻を含む ・「子」には、実子、養子を含む |
被保険者の父母、配偶者、子 |
・「父母」は、実父母、養父母を含むが、義理の父母は含まない ・「配偶者」には内縁の夫、妻を含む ・「子」には、実子、養子を含む |
被保険者の業務に従事中の使用人 |
・業務により生じた損害は労災保険などによる救済に委ねる |
被保険者の使用者の業務に従事中の他の使用人 |
・被保険者が被保険自動車をその使用者の業務に使用している場合に限る ・業務により生じた損害は労災保険などによる救済に委ねる |
その他の免責事由
その他にも、保険契約上の義務違反があった場合や、合意によって定められる免責事由もあります。免責事項に該当する場合には保険金は支払われません。
重大な義務違反の場合には、自動車保険自体が解除されてしまうこともあります。面倒でも、免責事項はよく読み込み、きちんと理解しておくことが必要です。保険契約上の義務違反による免責事項と保険契約の合意による免責事項、それぞれの具体例は以下のようなものになります。
保険契約上の義務違反による免責事項 |
保険契約の合意による免責事項 |
・保険契約時の告知や通告義務違反 ・保険契約後の被保険自動車の用途車種、登録番号の変更などを通知しない義務違反 ・事故発生時の義務違反(事故時通知義務、損害の拡大防止義務、書類提出の義務など) |
・運転者限定特約や年齢条件特約など |
自動車保険の免責金額の考え方とは?
次に、免責金額の考え方を解説します。免責金額とは、車両保険に加入している車に対して保険金が支払われる場合に、保険契約者が自己負担する金額のことです。
免責金額は保険契約時に保険契約者自身が自分で設定します。保険料の支払いや保険金の支払いに直接関係する金額であるため、設定金額にどのような意味があるのかを理解しておきましょう。
免責金額設定は保険会社の提示から検討する
免責金額は保険会社が提示する金額から選ぶのが一般的です。免責金額には定額方式と増額方式、免責ゼロという3つのタイプがあります。
定額方式は、何度事故を起こしても一定金額が免責金額となるタイプです。契約書には「5-5万円」「10-10万円」や単純に「5万円」「10万円」と記載されます。
増額方式は、2回目以降の免責金額が大きくなる設定です。「5-10万円」「0-10万円」などと表記されます。
免責ゼロはその名のとおり免責金額が0円、自己負担はなしという意味です。「0-0円」と表記します。
免責金額の表記 |
表記の意味 |
5-5円 5万円 |
・定額方式 ・1回目の事故も2回目以降の事故も免責金額5万円 |
10-10万円 10万円 |
・定額方式 ・1回目の事故も2回目以降の事故も免責金額10万円 |
0-10万円 |
・増額方式 ・1回目の事故の免責金額は0円、2回目以降の免責金額は10万円 |
5-10万円 |
・増額方式 ・1回目の事故の免責金額は5万円、2回目以降の免責金額は10万円 |
0-0円 |
・免責ゼロ ・自己負担はなし |
免責金額を高くすると保険料が安くなる
免責金額が高く設定されていれば、保険会社は保険金を支払う可能性が低くなるため、保険料を安くできます。
車に損害が起き、8万円の修理費用がかかったとしましょう。「5-5万円」の免責金額が設定されている車であれば、5万円は自己負担額、つまり契約者本人が支払います。保険会社が支払う保険金は残りの3万円です。
免責金額が「10-10万円」であれば、修理費用が10万円以下の損害に保険金は支払われません。8万円の修理費は全額保険契約者の自己負担となり、保険会社は1円も支払わなくてよくなるため、その負担は大きく軽減されます。そのため、「10-10万円」の保険料は「5-5万円」の保険料よりも安く設定できるのです。
免責金額設定は慎重に判断しよう
免責金額を選ぶ際に考えるべきは、保険料の金額と事故を起こした場合の自己負担の金額です。保険料を安くしたいのであれば、免責金額を高めに設定することになります。しかし、万が一事故を起こした場合には、まとまった金額を支払わなければなりません。
免責金額を低く設定すれば、保険料は高くなります。しかし、事故を起こした場合に安く済むため、精神的なストレスが少ないという考え方もできるでしょう。
ただし、車両保険を使って修理をすると等級が下がり、翌年以降の保険料はさらに上がります。小さなトラブルでたびたび保険を使っていると、事故直後に支払う金額は少なくて済んでも、トータルでは大きな金額を支払うことになってしまうかもしれません。
事故によっては自動車保険の免責が影響しないケースもある
事故の内容によっては、免責金額の適用から外れるケースもあります。そのケースに該当すれば、自動車の修理費用を自己負担する必要はありません。
ここでは、よくある2つのケースを取り上げます。万が一とはいえ、決して特殊なケースではありませんので、知っておくと慌てずに済むでしょう。
自己負担が不要なケース1
ひとつ目は「全損」のケースです。車が完全に壊れてしまった、なくなってしまった場合を「全損」と言い、修理費が時価額(損害時点での契約車両の市場販売価格相当額)あるいは保険価額を超えるケースもこれに該当します。この「全損」の場合には、免責金額を支払う必要はありません。被った損害に対しては契約保険金額が支払われます。
事故により車が修理不能なダメージを負った場合や修理費が車の価値よりも高くなる場合、盗難被害に合った場合などに適用されます。なお、修理可能で、修理費が時価額もしくは保険価額を下回る場合は「分損」と呼ばれ、免責金額を支払わなければなりません。
自己負担が不要なケース2
相手がいる事故の場合にも、自己負担が不要になるケースがあります。相手がある事故では、どちらにどれくらい責任があるのかをはっきりさせなければなりません。責任の比率は双方の保険会社の担当者が、過去のデータに照らし合わせながら話し合って決めていきます。これが「過失割合」です。
決定した過失割合に沿って、双方の保険会社が相手の損害に対して賠償金を支払うこととなります。その際、支払われる賠償金はまず免責金額に充当されるルールです。支払われた賠償金が免責金額を上回る場合には相殺され、自己負担額は0円になります。
自動車保険は車の種類でも保険料が変わる
免責金額の設定次第で保険料は変わります。しかし、保険料を左右するのは免責金額だけではありません。保険金額や補償内容、年齢条件、運転者の条件など、さまざまな条件が関係してきます。この機会に、さらに保険料を安くできないか、保険内容を見直してみるのも良いでしょう。
車の乗り替えが保険料の節約になるケースもあります。保険料をお得にするために押さえておきたい車選びのポイントを見てみましょう。
型式別料率クラスが関係している
保険料の計算には、型式別料率クラスが使われています。型式別料率クラスとは、自動車の型式ごとに事故リスクをランク付けしたものです。型式別料率クラスは実際の事故発生状況などを踏まえ、毎年見直されます。型式別料率クラスが適応されるのは、自家用普通乗用車や自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車です。
ランクは1~17で、事故が起きやすい車や盗難されやすい車、修理に費用がかかる車は型式別料率クラスが上がります。型式別料率クラスが上がる、つまり数字が大きくなれば、保険料も上がるという仕組みです。
保険料を抑えるなら車の乗り換えも検討しよう
型式別料率クラスは毎年変動します。「無事故で保険内容も変えていないのに、去年より保険料が上がった」のであれば、型式別料率クラスが変わったのかもしれません。型式別料率クラスが高い自動車に乗っていて保険料が高い場合には、免責金額を上げることで保険料を安く抑えられます。
保険料を安く抑えるもうひとつの方法は、事故リスクの少ない車に乗り換えることです。日本最大級の在庫数を誇るネクステージでは、品質にこだわった中古車を数多く取りそろえているため、条件を絞って理想の車探しが行えます。
まとめ
自動車保険でいう「免責」とは、事故や損害に対して保険金の支払いが免除されることです。どのようなケースで保険金の支払いが免除されるかは「免責事項」で定められています。保険金が支払われる場合にも保険契約者の自己負担とされる部分があり、これが「免責金額」です。免責金額を高く設定すれば、保険料は安くなります。
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