車のアイドリング時にカラカラ音がするのは異常?さまざまな要因について解説
アイドリングや加速中に、車から「カラカラ」という違和感を覚えるような音が聞こえてきた方もいるでしょう。この異音は、エンジンの重大なトラブルを知らせるサインかもしれません。放置すれば高額な修理費用が必要になることも考えられます。
この記事では、カラカラ音が示す故障サインとして、その要因となる部位を紹介します。その他の代表的な異音について押さえつつ、早期発見・早期対応で大切な愛車を長く安全に乗り続けるためのポイントチェックを見ていきましょう。
※目次※
1.アイドリング中など車のカラカラ音につながる主な原因とは?
4.アイドリング中のカラカラ音の修理代が高額なら車を乗り換えも要検討
・アイドリング中のカラカラ音は、プーリーのベアリングの消耗やバルブクリアランスの拡大、油脂類の不足など、さまざまな原因が挙げられる。
・カラカラ音以外にも、キーキーなる場合やボボボとなる場合など、注意すべき異音がある。
・異音修理の見積額が高額な場合は、車を乗り換えるのもひとつの方法。
アイドリング中など車のカラカラ音につながる主な原因とは?
アイドリング時などに発生するカラカラ音は、いくつかの主要な原因によって引き起こされます。プーリーのベアリング異常、バルブクリアランスの拡大、エンジンマウントの劣化、ノッキングの発生、エンジンオイルや冷却水不足によるエンジン本体の故障などです。ここでは、それぞれの原因について解説します。
プーリーのベアリングの異常
アイドリング時のカラカラ音は、エンジンの補機部品に起因する場合があります。補機とは、オルタネーターやパワステポンプ、ウォーターポンプなど、エンジンを補助する部品の総称です。これらの部品は、エンジンの動力をベルトで伝えて回転しています。
回転の中心となるのが「プーリー」という部品で、内部にはベアリングが組み込まれています。このベアリングに不具合が生じると、回転軸がブレてカラカラという金属音が発生することがあるのです。特に低速回転時に音が目立ち、エンジン回転が上がると音が消える傾向にあります。
バルブクリアランスの拡大
バルブクリアランスとは、エンジン内部の吸気・排気バルブと、それを動かすカムシャフトの間に設けられた隙間のことです。経年劣化や使用状況によってこの隙間が広がりすぎると、カラカラという金属音が発生します。アイドリング時に特に目立つこの音は、本来なら適切な隙間で抑制されているバルブの動作音が、広がった隙間から漏れ出てくることが原因です。
バルブクリアランスの異常は、エンジンの性能低下や燃費悪化にもつながる可能性があります。また、この症状を放置すると、バルブやカムシャフトの摩耗が進行し、より深刻な故障を引き起こす恐れがあります。バルブクリアランスを調整する必要があるので、対応してくれる整備工場を見てもらうと良いでしょう。
ノッキングの発生
アイドリングではなく加速中に発生するカラカラ音の原因のひとつに、ノッキングがあります。ノッキングとは、点火プラグによる正常な点火ではなく、混合気が自然発火してしまう現象です。ハイオク指定の車両にレギュラーガソリンを使用した場合や、ノックセンサーの不具合によって発生することがあります。
燃焼室内に付着したカーボンや混入したエンジンオイル、スパークプラグの熱なども、ノッキングの原因となります。この症状を放置すると、ガスケットの抜けやピストンの破損など、深刻なエンジンダメージにつながるかもしれません。対策としては、適正なオクタン価の燃料使用、劣化したスパークプラグの交換、燃焼室内のカーボン除去などが挙げられます。
エンジンオイルや冷却水不足によるエンジン本体の故障
アイドリング時のカラカラ音は、エンジンオイルや冷却水の不足による深刻な異常のサインかもしれません。エンジンオイルが不足すると、エンジン内部の潤滑が十分に行われず、金属部品同士が直接接触して異音が発生します。この状態でエンジンを稼働し続けると、シリンダーやピストンなどの重要部品が損傷する可能性があります。
同様に、冷却水が不足するとエンジンがオーバーヒートし、金属部品の膨張やゆがみによってカラカラ音が生じることがあります。このような状態で走行を続けると、最悪の場合エンジンブローを引き起こし、エンジンの載せ替えが必要になる場合があるので注意しましょう。
車から発生するカラカラ音以外の代表的な異音
車から発生する異音は、カラカラ音以外にもさまざまな種類があり、それぞれが異なる機械的な問題を示唆しています。キュルキュル音・キーキー音・ウィーン音・ボボボやバラバラという音など、音の特徴によって原因を特定できることが多くあります。ここでは、代表的な異音の種類とその原因について解説するので、参考にしてください。
キュルキュルなる場合
エンジン始動時に「キュルキュル」という音が聞こえた場合、補機ベルトの不具合が考えられます。補機ベルトはエアコンコンプレッサーなどの補機類に動力を伝える重要な部品です。プーリーと呼ばれる滑車に巻き付けられています。
ファンベルトは経年劣化によってゴムが硬化したり、表面が擦り減ったりすることで、プーリー上を滑りやすくなります。この状態でエンジンを始動すると、ベルトがプーリー上で滑って「キュルキュル」という異音が発生するのです。
時には、一度エンジンを停止して再始動すると音が消えることもありますが、これは一時的な改善に過ぎません。頻繁に異音が発生する場合は、早めに整備工場での点検を受けることが賢明です。
キーキーなる場合
ブレーキを踏んだ時に発生するキーキー音は、ブレーキパッドの摩耗が主な原因です。パッドには摩耗を知らせる「ウェアインジケーター」と呼ばれる金属部品が埋め込まれており、パッドが限界まで減ると、この部品がブレーキローターに接触してキーキー音を発生させます。
キーキー音は、パッドとローターの接触による微振動やさびが原因で起こることもあります。また、キャリパーのスライドピンやピストンが固着してブレーキが常に微かに掛かる「ブレーキの引きずり」も、キーキー音の原因のひとつです。
これらの症状は、放置するとブレーキの性能低下や事故につながる危険性があります。ブレーキは車の安全に直結する重要な部品であるため、キーキー音が気になる場合は、早めに整備工場で点検を受けることが推奨されます。
ウィーンとなる場合
エンジン作動中にウィーンという音が発生する場合、オルタネーターやエアコンコンプレッサーの故障が考えられます。これらの部品は、内部にベアリングを使用しており、長期間の使用や劣化によって異音を発生させることがあります。
また、アイドルプーリーのベアリングも劣化すると、同様のウィーン音を引き起こすことがあるので、早期に点検することが重要です。これらの異音は、エンジン回転数が上がると大きくなる傾向があります。
ボボボ、バラバラとなる場合
アイドリング時に「ボボボ」や「バラバラ」という音が聞こえる場合、マフラーの損傷が考えられます。マフラーは排気ガスの騒音を低減し、有害物質を浄化する重要な部品です。
マフラーは車の下回りに位置するため、経年劣化や塩害によるさびの進行で穴が開くことがあります。穴が開くと排気ガスが漏れ、エンジン回転に合わせて「ボボボ」や「バラバラ」という音が発生するのです。一般的に修理方法は、マフラーの交換か、穴を溶接でふさぐかの2択となります。排気漏れは保安基準に適合せず、車検にも通りません。
車の異常を早期発見するためにも定期点検が重要
車の異常を早期発見するには、日常点検・法定点検・定期的なメンテナンスという3つの要素が重要です。アイドリング時のカラカラ音など、気になる症状は早めに専門家に相談することで、深刻な故障を防ぐことにつながるでしょう。
日常点検は自身で行える基本的なチェックから、定期点検では専門家による詳細な点検まで、それぞれ適切な時期と方法で実施することが大切です。また、消耗品の交換など定期的なメンテナンスを怠らないことも、安全な車両管理には欠かせません。
日常点検でチェックしておきたい点検箇所
日常点検は、車の異常を早期発見するための重要な習慣です。運転席からの確認、エンジンルームの点検、車両周囲の状態チェックなど、簡単な作業で実施できます。
道路運送車両法では、一般の自家用車でも日常点検の実施が義務付けられています。特に事業用車両は、乗客や荷物の安全を確保するため、毎日の運行前点検が必須となります。
点検時は、エンジンオイルやブレーキ液の量、タイヤの空気圧、各種ランプの点灯状態などを確認します。また、普段と異なる音や振動がないかにも注意を払うことが大切です。アイドリング時のカラカラ音など、わずかな変化でも気付いたら、早めに整備士に相談することをおすすめします。
法定点検でプロに見てもらう
自家用乗用車の場合、道路運送車両法で12か月ごとに定期点検整備を実施することが定められています。定期点検は、車両の状態を専門的な見地から総合的に診断する重要な機会です。
点検項目数は、自家用乗用車の場合1年点検で29項目、2年点検では60項目に及びます。これらの点検には専門的な知識と技術が必要となるため、国の認証を受けた整備工場での実施が推奨されています。アイドリング時のカラカラ音などの異常も、定期点検時に整備士が診断することで、深刻な故障を未然に防げるでしょう。
メンテナンスも忘れずに
車の消耗品を交換する作業は、安全な走行と故障防止のために不可欠です。代表的な交換部品として、エンジンオイルは半年または5,000km走行ごとに交換が推奨されます。また、オイルフィルターはオイル交換2回に1回、または1万km走行ごとに交換するのが目安です。
タイヤの状態も重要で、溝の深さが4mm以下になったら交換を検討する必要があります。走行中のバーストや燃費悪化を防ぐため、空気圧調整を1か月に一度実施することが大切です。
バッテリーは一般的に2年~3年での交換が目安です。寒冷地での使用や週1回程度の使用頻度の場合は、寿命が短くなる傾向にあります。
他にも、エアコンフィルターやウォッシャー液、ブレーキオイル、冷却水などは定期的な交換が必要です。これらの消耗品は、車の種類や走行環境によって適切な交換時期が異なります。不安な場合は、整備士に相談しましょう。
アイドリング中のカラカラ音の修理代が高額なら車を乗り換えも要検討
アイドリング時のカラカラ音など、深刻な修理費用が見込まれる場合は、新車や中古車への乗り換えを検討するとよいでしょう。ここでは、実際の乗り換えを検討する際のポイントとして、新車と中古車のメリット・デメリット、中古車購入時の確認事項、メンテナンスパックの活用方法について解説します。
新車と中古車どちらを購入するか決める
新車と中古車は、それぞれに特徴があり、購入時の重要な選択肢となります。新車は、メーカー保証が付帯し、万が一の故障に対して修理代を抑えられるのがメリットのひとつです。また、好みのボディカラーやオプションを自由に選べ、最新の安全機能や環境性能を享受できます。
一方、中古車は新車と比べて購入価格を抑えられます。新車より大幅に安価で、新車では入手できない希少な車種や特別仕様車も選択肢に入れられ、納車までの期間も短いのが特徴です。
初めて車を購入する方には中古車がおすすめです。多少の傷は気にならず、運転に慣れることに集中できます。ただし、状態の良い車を選ぶことが重要です。
中古車は状態をチェックすることが大切
中古車購入時には、車両の状態を入念にチェックすることが重要です。特に電装品の動作確認は必須で、ヘッドライト・ウインカー・バックライト・エアコン・カーナビなど、全ての機能が正常に作動するか確認します。電球切れであれば簡単に交換できますが、内部断線の場合は高額な修理費用が発生する可能性があります。
またハンドルやブレーキの点検も欠かせません。エンジンをかけた状態でハンドルを左右に切り、パワステが正常に機能しているか確認しましょう。ブレーキは、踏み込む力に応じて適切に効くか、異音や違和感がないかをチェックします。
さらに、エンジンなどの駆動系をチェックしておきましょう。異音の有無を確認し、フィラーキャップ内の汚れ具合からメンテナンスが行き届いているのかチェックすることも大切です。
メンテナンスパックの加入も検討しよう
メンテナンスパックは、定期点検やエンジンオイル交換などの維持管理をパッケージ化したサービスです。通常価格より安価にメンテナンスを受けられるのが大きな特徴です。また、点検時期を案内してくれるため、タイミングを気にする必要がありません。
プロの整備士による定期的な点検により、アイドリング時のカラカラ音などの異常を早期に発見できるでしょう。
ただし、メンテナンスパックには注意点もあります。契約期間中の中途解約には料金が発生する場合があり、メンテナンスを受けられる場所も契約した販売店に限定されるため、引っ越しなどで販売店から遠くなる場合は不便です。
メンテナンスパックは、専門知識がない方や整備時期の管理が苦手な方、安全な車両管理を望む方に特におすすめです。車の使用頻度や走行距離を考慮し、加入を検討するとよいでしょう。
まとめ
車のカラカラ音は、エンジンの健康状態を示す重要なサインとして認識する必要があります。アイドリング中に発生する異音は、プーリーやベアリングの劣化、バルブクリアランスの異常などが考えられるでしょう。異音の種類や発生条件を把握し、警告灯の点灯状況と合わせて総合的に判断することが適切な対処につながります。
また、異音の早期発見と対処には定期的な点検が不可欠です。修理費用が高額となる場合は、車両の年式や走行距離を考慮し、乗り換えを検討することも選択肢のひとつとなります。
▼ライタープロフィール
小波津健吾
高山自動車短期大学を卒業とともに国家2級整備士資格を取得。その後、整備士として実務経験を積み重ね自動車検査員資格を取り、民間工場で検査員として従事した経歴を持つ。現在はメカニックや検査員の知識と経験を活かし、主に車系のメディアで執筆している。
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