車の一年点検とは?車検との違いや費用の目安を解説
車を安全に乗り続けるには、日頃のメンテナンスが欠かせません。定期的な点検・整備は道路運送車両法で義務付けられており、その中のひとつが「一年点検(12か月点検)」です。
車のメンテナンスというと「車検」を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、車検は「検査」のため一年点検とは異なります。一年点検ではどのようなことを行うのでしょうか。
この記事では、一年点検の目的と点検項目、車検との違いを解説します。一年点検を受けるタイミングや費用についても紹介するため、一年点検に関する知識をより深められるでしょう。
※目次※
・車の一年点検は車の種類によって受ける時期と点検項目が変わり、自家用車は「1年ごとに29項目」確認する。
・一年点検は車の状態を良好保つための点検整備を指し、車検の目的は国の保安基準を満たしているかの検査である。
・一年点検の費用と時間は車の種類や依頼する業者、整備の有無で変わる。
車の一年点検(12か月点検)とは?
一年点検は、文字通り「1年ごとに受ける点検」です。個人で行う点検を「日常点検」といい、一年点検は「定期点検」と呼びます。
定期点検は、一般ユーザーが行う日常点検よりも専門知識が必要になり、点検の規模も大がかりです。ここでは、一年点検の概要と目的、点検時期を紹介します。
義務付けられている点検整備のこと
点検整備はユーザーが日頃行う「日常点検」、1年ごとに行う「一年点検(12か月点検)」、車検時に行う「二年点検(24か月点検)」に分けられます。
車の部品は走行距離や使用年数が増えることで摩耗するため、安全性を継続させるには定期的な点検整備が必要です。適切な保守管理をするために、道路運送車両法で定期点検整備が義務付けられています。
日常点検ではエンジンオイルの量やランプ類の点灯可否、ブレーキの効き具合を確認しますが、一年点検では自家用車で29項目を点検する大がかりな点検であることが特徴です。
車の種類によって点検時期や点検項目数が異なる
定期点検は、車の種類や用途によって点検時期・点検項目が異なります。一般家庭で使用される「自家用車」は、1年ごとに29項目、2年ごとに60項目です。
一方、事業用として使われるバス・トラック・タクシーは3か月ごとに51項目、12か月ごとに101項目を点検します。自家用であっても、大型トラックの場合は事業用のバスやトラックなどと同じタイミング・項目数です。
この他、自家用の中型トラックとレンタカーは6か月ごとに24項目、12か月ごとに86項目、二輪自動車は1年ごとに35項目、2年ごとに54項目を点検します。
なお、二輪車であっても原動付き自転車(原付バイク)は一年整備が義務付けられていません。
車の一年点検が該当する定期点検整備と車検の違い
個人で行う日常点検よりも大がかりなこと、同じ「検」の字があることから、車検と変わらないのではと思う方もいるかもしれません。
一年点検を含む定期点検整備と車検は異なる目的で行われるため、どちらも車を適切に管理するために必要です。定期点検整備と車検の違いを知り、それぞれの重要性をしっかりと理解しましょう。
車検:国が定めた保安基準を満たしているかを検査する
車検は「自動車検査登録制度」を略したもので、自動車の安全確保と公害防止を目的に、国が定めた保安基準に合っているかを確認する「検査・登録」です。
車検では、ハンドル類やブレーキ、タイヤ、トランスミッション、バッテリーなどを確認します。検査に通らない場合は不合格となり、保安基準に合うよう適合修正をしなくてはなりません。
車検には有効期限があり、新車の場合は3年間、新車以外は2年間です。継続的に行われることから「継続検査」とも呼ばれます。
定期点検整備:整備不良の早期発見を目指す
定期点検整備は、安全に車を走行できるかを確認する「点検」と「整備」です。車検とは違い、故障による事故を未然に防ぐ、車の状態を良好に保つことを目的としています。
道路運送車両法で義務付けられていることから「法定点検」とも呼ばれますが、実施しないことによる罰則はありません。しかし、事業用の車は定期点検整備の期限を過ぎた状態で走行すると罰金が科されます。
車の一年点検はいつまでに実施するべき?
一年点検は車検ほど厳しく期限を管理されていませんが、毎年点検を受けることを意識する必要があります。しかし、1年ごととなるとうっかり忘れてしまうこともあるでしょう。
ここでは、カレンダーや手帳を使わずとも一年点検のタイミングを確認する方法を紹介します。
一年点検を行う時期はダイヤルステッカーで分かる
ディーラーや販売店によっては、一年点検が近くなるとはがきやメールでお知らせしてくれる場合があります。お知らせを受けてから予定を組むのもひとつですが、普段から点検の時期を確認しておくと予定が組みやすくなるでしょう。
一年点検のタイミングは、フロントガラスに貼ってある「点検整備済ステッカー(ダイヤルステッカー)」で確認できます。ダイヤルステッカーの表面中央に書かれた数字は「次回の実施年」、背景が白くなっている数字が「次回の実施月」です。
裏面には「次回の実施年月日」も書かれているため、定期的に確認すると忘れずに済み、早い段階で予定が組めるようになります。
車の一年点検を自分で行うことは可能
整備士などの有資格者しか行えないような印象もありますが、一年点検を含む点検整備は個人でも行えます。一年点検は二年点検よりも項目が少ないため、個人で行う場合は一年点検から始めるとよいでしょう。
しかし、個人でできるとはいえある程度の専門知識が必要になり、ジャッキや電子制御装置診断ツールなどの専用ツールが必要になる場合もあります。
個人で一年点検を行った場合はダイヤルステッカーも入手できないため、不安がある方は専門業者に依頼するようにしましょう。
車の一年点検が受けられる場所
車検の通知は国や自治体からではなく、一般的には車を購入した販売店やディーラーから届きます。
定期点検整備も同様に販売店やディーラーから通知されますが、通知を待たずに自分で確認できる最も手軽な方法はダイヤルステッカーの確認です。定期点検整備は主に次の4つの場所で受けられるため、最寄りの店舗などに問い合わせてみましょう。
ディーラー
車検と同じく、ディーラーでも一年点検が受けられます。ディーラーで一年点検を受けるメリットは、メーカーの整備講習を受けた整備士による質の高いメンテナンスです。
車検と定期点検整備がセットになったプランに加入すると、個々で受けるよりも料金を抑えられます。
整備工場
整備工場には「指定整備工場」や「認証整備工場」があり、どちらの整備工場でも定期点検整備が受けられます。指定整備工場と認証整備工場は、ダイヤルステッカーの貼り付けが可能です。
ディーラーよりも料金を抑えられる、メーカーにこだわらないことも整備時工場の魅力といえるでしょう。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでは、給油以外にも車検や一年点検などの定期点検整備、タイヤ交換などのメンテナンスも受け付けています。
指定整備工場と認証整備工場の認定を受けているガソリンスタンドであれば、ダイヤルステッカーの貼り付けも可能です。給油ついでに受けられることがメリットですが、繁忙時は受け付けてもらえない、予約が必要な店舗もあることに注意しましょう。
カー用品店
カーアクセサリーやタイヤなどを販売しているカー用品店でも、整備工場を併設している場合は一年点検が受けられます。
整備工場やガソリンスタンドと同じく、指定整備工場と認証整備工場の認定を受けている場合は、ダイヤルステッカーの貼り付けが可能です。店舗で販売している部品を選べるのは、カー用品店だからこそのメリットといえるでしょう。
車の一年点検にかかる費用や時間の目安
車検は費用と時間がかかることから、一年点検にもそれなりの時間とお金が必要になると心配になる方もいるでしょう。
車検と同じく、一年点検の費用も車ごとに変わります。どのくらいのお金が必要なのか、代車を借りる必要があるのかなど、点検を受ける前の疑問を解消しておきましょう。
整備を含まない費用は2万円前後が目安
一年点検の費用は、大きく点検基本料と整備技術料で構成されます。どちらも点検を受ける車、点検を依頼する業者によって異なるため、一律ではありません。
点検基本料は軽自動車であれば7,000円~8,000円ほど、普通自動車であれば8,000円~2万円ほどです。オイル交換を含む整備が必要になった場合は整備技術料が上乗せされますが、大型車でなく点検のみであれば1万円前後で済むでしょう。
大きな整備がなければ数時間が一般的
一年点検にかかる時間は、車検ほど長くはありません。依頼する業者にもよりますが、早くて1時間、長くても半日で終わります。
これは「点検のみ」の時間のため、整備箇所が多い、大がかりな整備がある場合は目安以上の時間が必要です。大まかな目安を知りたいという場合は、事前に問い合わせておくとよいでしょう。
まとめ
車の一年点検は、1年ごとに行う定期点検整備です。故障による事故を防ぐ、車を良好な状態に保つことを目的としており、車を使用する人に実施が義務付けられています。
一年点検のタイミングは、ディーラーなどから送られてくるはがきで確認できますが、フロントガラスに貼ってあるダイヤルステッカーでも確認が可能です。良好な状態の車に乗り続けられるよう、忘れずに点検を受けましょう。
一年点検を受けられるのは、ディーラーや整備工場、ガソリンスタンド、カー用品店です。業者だけでなく車の種類、車の状態によって費用と時間が異なるため、事前に確認することをおすすめします。
▼ライタープロフィール
中村浩紀 なかむらひろき
クルマ記事に特化したライター
現在4台の車を所有(アルファード・プリウス・レクサスUX・コペン)。クルマ系のメディアでさまざまなジャンルの記事を執筆し、2024年1月までに300記事以上の実績をもっている。
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よくある質問
Q.12か月点検を受けないとどうなる?
A.12か月点検は道路運送車両法第48条で定められていますが、点検を受けない場合でも罰則はありません。12か月点検を実施する目的は、トラブルや事故などのリスクを減らすことです。そのため、点検を怠ったことによる事故や故障は、保証外になる場合もありますので注意しましょう。
Q.車の12か月点検費用はいくらですか?
A.12か月点検の費用相場はおよそ数万円です。1万円から2万円程度で済む場合もありますが、点検業者や車両によって費用は異なります。12か月点検の費用には、消耗品であるオイルやフィルター交換、ブレーキパットやブレーキシューなどの点検だけではなく、タイヤの空気圧やバッテリーの状態、エンジンや車両の点検も含まれています。
Q.12か月点検は義務ですか?
A.12か月点検は国の法律で定められた義務です。道路運送車両法第48条に記載されています。ただし、12か月点検を受けなかった場合でも公道での走行は可能です。12か月点検は、メーカーが推奨する基準による健康診断に対して、車検は、国の基準で車両の安全性を確認するものです。車検も国の法律で定められた義務ですが、12か月点検とは異なり、点検を怠った場合には公道での走行ができません。