車売却時の譲渡所得の書き方のポイントは?仕訳方法まとめ
愛車を売却したとき、個人で所有している車両でも条件によっては譲渡所得として申告しなければなりません。しかし、車の売却を経験したことがなく、譲渡所得の計算方法や申告書の書き方を知らない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、譲渡所得の申告についてのポイントと仕訳方法を解説していきます。具体的な計算方法や青色申告の書き方もご紹介しているので、車の売却を検討中の方は早めにチェックして期限までに準備を整えておきましょう。
※目次※
・譲渡所得は、購入価格や売却価格だけでなく減価償却費も考慮して計算します。
・譲渡所得には特別控除50万円が適用されるため、課税対象外となる場合がほとんどです。
・車を買い替えるときはリサイクル料金も要チェック。仕訳方法や青色申告の書き方を理解しておきましょう。
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車を売却した際の譲渡所得の計算方法と書き方
個人が日常的に使用している車の売却は原則非課税となりますが、確定申告が必要なケースもあります。課税される場合は譲渡所得として扱われますが、計算方法は複雑で苦手に感じる方も多いでしょう。
ここからは、譲渡所得の計算方法と確定申告の記入方法について解説していきます。簡単な具体例も挙げているので、計算の際に参考にしてみましょう。
譲渡所得の計算方法
車を売却した際は、譲渡所得として確定申告しなければならないケースがあります。対象となるのは、キャンプなどのレジャー、個人事業主の事業用といった目的で使用している車です。
通勤用など個人が日常生活で使用している車は原則非課税となりますが、嗜好性の高い高級車は課税対象となる場合もあります。譲渡所得の計算方法は以下のとおりです。
- 譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費用+譲渡費用)-特別控除額50万円
取得費用は減価償却費も考慮して計算します。譲渡費用とは、運送、手続きなど売却のためにかかった費用のことです。
例えば、個人事業主が事業用として耐用年数6年の新車を200万円で購入し、3年後に100万円で売却したとします。減価償却費は200万円×0.167(償却率)×3年で100万2,000円です。譲渡費用を5万円とすると、譲渡所得は以下になります。
- 100万円-(100万2,000円+5万円)-50万円=-55万2,000円
このように譲渡所得がマイナスになった場合は非課税です。売却する車の所有期間が5年を超えた場合は譲渡所得の1/2が総合課税の対象となります。
確定申告書への記載方法
譲渡所得を確定申告する際は、総合課税の対象となります。分離課税は土地や建物が該当するため、記入間違いがないよう確認しておきましょう。
申告書第一表「総合譲渡」の欄に短期譲渡所得・長期譲渡所得それぞれの項目があります。売却した車の所有期間が5年以下であれば短期、5年を超えていれば長期譲渡所得欄に記入しましょう。
個人事業主は譲渡所得金額がマイナスになった場合、事業所得や給与所得などと損益通算できます。最終的な節税につながるため、漏れなく記入することが大切です。
また、譲渡所得を証明する書類として購入・売却時の契約書、売却代金の振り込みがわかる証明書などもそろえておきましょう。
(参考:『総合課税の譲渡所得』)
> 車を売却した際の譲渡所得の計算方法についてさらに知りたい方はこちら!
譲渡所得の仕訳を行う際の注意点
譲渡所得の計算方法や書き方は複雑ですが、ほかにも注意すべきポイントも理解しておきましょう。仕訳を行う際に確認が漏れていると、正しく申告できない事態になりかねません。
項目をひとつずつ埋める細かい作業ですが、売却だけでなく買い替え時の仕訳についても知っておくと安心です。リサイクル料金の扱いと課税・非課税について解説していきます。
買い替え時はリサイクル預託金に注意
車を購入する際、廃車時に解体処理するための「リサイクル料金(預託金)」を支払います。これは車の持ち主に支払う義務があるため、新車・中古車を問わず納付するお金です。売却するときには預託金として一括処理できますが、新しく購入する際には注意しなければなりません。
リサイクル料金には、各パーツの処理料金・情報管理料金・資金管理料金が含まれています。このうち手数料として扱われる資金管理料金だけは課税対象となるのです。車を買い替える際は、資金管理料金とそのほかの料金を別項目に分けて仕訳をしましょう。
通勤用の場合は非課税扱いとなる
個人が所有する車を売却したときに課税対象となるのは、以下のようなケースです。
- ・事業用に使用している
- ・キャンプの際にのみ使う車である
- ・コレクションなど趣味用の車である
具体的な条件はほかにもさまざまですが、基本的には「生活を支えるために必要か否か」という基準で判断できます。通勤や買い物など日常生活に車が必要不可欠である場合は、売却して利益が発生しても課税対象になりません。家族の生活に関わる車であれば非課税と捉えてよいでしょう。
> 車を売却した際の譲渡所得の仕訳について関連する記事はこちら!
車を売却した際の確定申告を行うための手順
無事に売却取引を終えたら、青色確定申告の作成に進みましょう。購入時・売却時に取得した書類もそろえておくと細かい項目も書きやすくなります。ここからは、確定申告を行うための手順をひとつずつ解説していきます。慣れない作業は時間がかかるため、なるべく早く準備できると安心です。
1.減価償却費を明確にする
譲渡所得金額を算出するうえで、減価償却費を明確にすることは重要なポイントです。新車を購入した場合、年月の経過とともにその価値は下がっていきます。珍しいモデルであれば高価になることもありますが、ほとんどの場合最終的な価値は限りなくゼロに近くなるでしょう。このような価値の低下を考慮したものが減価償却費です。
償却方法には定額法・定率法の2種類があります。個人事業主の場合は定額法を用いることが多いでしょう。購入金額に法定対応年数に応じた償却率を掛け合わせた数字が減価償却費です。
2.仕訳
購入金額、売却金額、減価償却費などが明確になれば、ひとつひとつ項目に分けて仕訳を行います。個人事業主であれば、車の売却によって利益が出た場合は「事業主借」、マイナスになった場合は「事業主貸」という勘定項目が適切です。法人のように固定資産売却益・固定資産売却損としないよう注意しましょう。
3.青色申告決算書の減価償却費の計算への記載
仕訳が完了したあとは、実際に青色申告決算書へ記入していきます。「減価償却費の計算」と書かれた項目です。おもに以下のような項目があります。
- ・減価償却資産の名称等
- ・取得価額
- ・事業専用割合
- ・未償却残高
- ・摘要
資産の名称には車種名を、取得価額には車の購入金額を記載します。事業専用割合とは、プライベートと事業の使用比率をパーセンテージで表したものです。売却したあとは残るものがないため、未償却残高は0とします。摘要欄には売却年月と「売却」の記載を忘れないようにしましょう。最終的な減価償却費を「減価償却費」欄に記入して完了です。
4.確定申告書Bでの税金の計算
譲渡所得として支払うべき税金を算出します。売却価格・減価償却費・事業専用割合といった明確な数字が必要になるため、決算書に記入した内容を確認しながら進めていきましょう。確定申告書Bは国税庁の公式サイトから作成する方法がおすすめです。
わかりやすい項目に分かれており、自分で計算するよりも簡単に作成できます。詳細項目を満たすと特別控除も含めた申告書が完成しますが、念のため決算書との相違がないかチェックしておくと安心です。
(参考:『個人の確定申告書等の作成』)
5.消費税の計算
最後に、課税売上高を計算します。譲渡所得の消費税は売却価格そのものではありません。事業用として使用している場合にのみ課税されるため、事業専用割合の数字に則って計算します。
売却価格が100万円、事業専用割合60%の場合は100万円×60%=60万円を課税売上高に加算します。プライベートに使用していない車であれば100%となります。計算は単純ですが、忘れやすいポイントでもあるため漏れがないようしっかり理解しておきましょう。
> 車を売却した際の確定申告の手順についてさらに知りたい方はこちら!
まとめ
個人事業主が仕事で車を保有している場合、売却したときには譲渡所得として申告する義務があります。多数の項目があり書き方も複雑なため、売却を考えている方は早めに準備しておくことが大切です。
車の売却で仕訳方法にお悩みの方は、ぜひネクステージへご相談ください。申告に必要な情報や書類、課税対象になるか否かといった部分も詳しく提示させていただきます。買い替えに関するサービスもご提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q.総合譲渡の具体例は?
A.総合課税の対象となる譲渡所得には、さまざまな資産の売却が含まれます。具体的には、金地金や宝石などの貴重品、書画や骨とうなどの美術品・骨董品、競走馬、船舶、機械器具、車両といった動産などです。 また、営業権、漁業権、借家権、ゴルフ会員権などの権利も含まれます。さらに、知的財産である特許権や著作権、天然資源に関する鉱業権や土石(砂)、特定の公社債なども対象です。
Q.車を5年で譲渡所得は幾らですか?
A.車の譲渡所得に対する課税は、所有期間によって大きく異なります。例えば、100万円で車を売却した場合、所有期間が5年以内であれば、100万円の全額が課税対象です。 一方、5年を超えて所有していた場合、特例により課税対象額が半額の50万円とされます。長期所有者への優遇措置として、5年超の所有期間がある場合は課税対象額が半額に軽減されるのです。
Q.確定申告で総合譲渡所得とは?
A.総合譲渡所得とは、不動産や株式以外の資産を譲渡した際に生じる所得のことを指しています。また、給与所得や事業所得などと合算して課税される所得のひとつです。事業用商品や山林の譲渡による所得は含まれません。 この所得は、売却価格がそのまま課税対象となるわけではなく、収入金額から取得費や譲渡費用を差し引いて計算されます。
Q.譲渡所得は50万円までなら税金はかかりませんか?
A.譲渡所得には年間50万円の特別控除制度が設けられており、1年間の譲渡所得が50万円以下であれば課税対象とはなりません。 一方、譲渡所得が50万円を超える場合は、超過した分が課税対象となり、確定申告が必要です。なお、この特別控除は総所得金額から差し引かれる金額で、税額から控除されるものではありません。
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