ヘッドライトは自分で交換できる?取り付けの手順や注意点を紹介
車のヘッドライトは、夜間やトンネル内の暗がりを照らしたり、周囲に車の存在を知らせたりする役割があります。ヘッドライトの明るさが適切でない場合は前方が見えにくくなることもあり、自分でヘッドライトの交換をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ヘッドライトのバルブ交換やユニット交換が自分でできるのか解説しつつ、業者に依頼したほうがよいケースについて紹介します。また、ヘッドライトに採用されるバルブの種類や特徴にも触れるので、ぜひ参考にしてみてください。
※目次※
・車のヘッドライトは、バルブ部分なら自分で交換できるが、ユニットごと取り換える場合は業者へ依頼しよう。
・ヘッドライトのバルブにはハロゲンやHID、LEDなどの種類があり、それぞれの特性を把握して選択することが大切。
・LEDのヘッドライトは、明るくて寿命が長く消費電力は少ないが、交換費用の高い点がデメリット。
ヘッドライトの交換は自分でも可能?
ヘッドライトは、夜間や暗い場所を走行する際に欠かせないパーツです。ヘッドライトが点灯しないと安全に関わるため、つかない場合は交換する必要があります。ここでは、ヘッドライトの交換が自分でできるのかを確認してみましょう。
バルブだけなら自分で交換できる
ヘッドライトの明かりにバルブ(電球)が採用されている場合は、自分で交換できます。バルブにはハロゲンやHID、LEDなどさまざまな種類があるため、車に合ったものを選びましょう。
バルブはヘッドライトの裏側から交換できますが、感電する可能性があるためスイッチをOFFにして作業を行います。
また、直前までライトを点灯させていた場合は、高温になっている可能性があるため注意しましょう。作業用グローブを用意するなど、手を保護することが大切です。
ユニット交換は業者がおすすめ
事故などによりヘッドライトが損傷した場合は、ユニット交換となることがほとんどです。ヘッドライトが割れていたり、内部が破損して点灯しなかったりするケースでは、ヘッドライトそのものの交換が必要になるでしょう。
また、ヘッドライトにLEDが埋め込まれている場合は、バルブ交換ができません。ユニット交換では、フロントバンパーの取り外しなど知識と技術が必要なので、業者に依頼することをおすすめします。
ヘッドライト交換のタイミング
ヘッドライトに使用されるバルブには、主にハロゲンバルブ・HIDバルブ・LEDバルブの3つがあります。
それぞれ構造や性質が異なっている他、交換時期の目安も違うため、特徴を押さえておくことが大切です。ここでは、各バルブの特徴と交換時期について解説します。
ハロゲンバルブの交換時期
現在、新型車に組み込まれるケースは減ってきましたが、自動車のヘッドライトに多く採用されていたのがハロゲンバルブです。バルブ内にハロゲンガスを注入している点が名称の由来で、白熱バルブよりも明るさが変わりにくい特徴を持っています。
ハロゲンガスにより、光源であるタングステンのフィラメントの消耗を抑えることで寿命を伸ばしています。ただし、以降で紹介するHIDバルブやLEDバルブよりも交換サイクルは短めです。
ハロゲンバルブの交換時期の目安は、おおよそ500時間~1,000時間となっており、使用頻度によりますが1年程度で交換となるケースもあるでしょう。
HIDバルブの交換時期
HID(High Intensity Discharge)バルブは、高輝度放電ランプのことで、ディスチャージランプやキセノンランプと呼ばれることもあります。ハロゲンバルブよりも構造は複雑ですが、約2倍の明るさがあり、消費電力は3分の2程度です。
バルブ内部にキセノンガスが封入されており、金属によるアーク放電が光源となっています。ハロゲンバルブよりも高い電圧が必要なため、バラストと呼ばれるパーツが必要です。
ちなみにハロゲンバルブが採用されている車両でも、多くの場合HIDバルブのキットに交換できるため、明るくしたい場合などは検討してみるとよいでしょう。
HIDバルブは長寿命である点も特徴のひとつで、交換時期の目安は2,000時間程度です。一般的に、3年程度で交換となるでしょう。
LEDバルブの交換時期
現在、自動車のさまざまなランプに採用されるLEDですが、バルブタイプであればヘッドライトでも交換可能です。LEDはLight Emitting Diodeの頭文字を取ったもので、発光ダイオードとも呼びます。
LEDチップに電圧をかけることで発光するため、構造は比較的シンプルです。LEDバルブは非常に長寿命であり、消費電力も小さいことからエコなバルブといえます。また、HIDと異なり点灯直後でも明るく、点滅に強い点も特徴のひとつです。
LEDバルブの交換時期の目安は、おおよそ1万時間となっており、15年ほど持つケースもあるでしょう。ただし製品によって短い場合もあるので、口コミなどをチェックしつつ購入することをおすすめします。
自分でヘッドライトを交換するメリットとデメリット
ここでは、自分でヘッドライトのバルブを交換することのメリットとデメリットについて解説します。
ヘッドライトのバルブは比較的簡単に交換できますが、リスクを押さえておくことが大切です。交換費用を抑えたい方や、DIYに挑戦したい方はぜひ参考にしてみてください。
自分で交換するメリット
ディーラーなどの業者に交換を依頼すると工賃を支払う必要がありますが、自分で交換するとその費用を節約できます。一度交換すると要領が分かるので、次回の交換が楽になるでしょう。
ヘッドライトのバルブ交換は基本的に難しくないため、交換費用を抑えたい場合にはチャレンジしてみることをおすすめします。
自分で交換するデメリット
ヘッドライトのバルブ交換は簡単であるとはいえ、リスクがあることを押さえておきましょう。
バルブは熱を持つパーツのため、素手で交換するとやけどするかもしれません。また、感電する可能性もあります。特に高電圧のHIDバルブを交換するときは注意が必要です。
他にも、バルブの取り付け方法を間違える場合があります。難しいと感じるのであれば、無理せずプロに依頼しましょう。
自分でヘッドライトを交換する方法
ヘッドライトのセルフ交換は費用を抑えたい方におすすめです。バルブ交換の場合は、作業もそれほど難しくありません。
しかし、具体的な方法や要点を知らずに行ってしまうと、事故やけがにつながるため注意が必要です。安全な作業を正確に行うために取り付けの手順や注意点を、ここで把握しておきましょう。
取り付ける際の手順
バルプ交換を行う際は、作業時のやけどや汚れを防ぐため軍手や手袋を用意しておきましょう。バルブ交換の基本的な手順は以下の通りです。
1.ボンネットを開けてヘッドライトコードの場所を確認する
2.ヘッドライトコードの先端に付いたコネクターを取り外す
3.バルブの場所を確認する
4.バルブ裏の防水ゴムカバーを取り外す
5.バルブを固定している金具を外す
6.バルブ本体を取り外す
7.新しいバルブに交換する
8.外したストッパーを取り付ける
9.防水ゴムカバーを戻す
10.ヘッドライトコードの先端にコネクターを戻す
11.ライトの点灯を確認する
基本的に取り外した手順に従って、戻していきます。外す順番やパーツの位置を覚えておくと、作業がスムーズに進むでしょう。
取り付ける際の注意点
バルブ部分やその周辺は、高電圧かつ高温の部分が多々あります。作業時には、エンジンやヘッドランプのスイッチをOFFにしましょう。
エンジンを切った後、すぐに作業をしてしまうとエンジンルーム内が高温なので非常に危険です。やけどの恐れがあるため時間を置いて作業をするようにしましょう。
バルブ自体の取り扱いにも注意が必要です。素手でガラス部分に触れるとバルブの劣化を早めます。また、付着した油分に熱が集まりガラスが割れる原因にもなります。やけどや汚れの付着を防止するためにも手袋を使用しましょう。
自分でヘッドライトを交換する以外の方法
自分でヘッドライトのユニットやバルブの交換ができないと判断した場合は、業者に依頼するとよいでしょう。
ここでは、ヘッドライト交換の主な依頼先と、費用の目安を紹介します。また、無償で交換できるケースについても解説するので、参考にしてみてください。
ヘッドライト交換の依頼先と費用
ヘッドライトのバルブ交換やユニット交換は、メーカー系列のディーラーや民間の整備工場、ガソリンスタンドなどに依頼できます。また、カー用品店も交換に対応していることがほとんどです。
ディーラーは自社が扱う車種に関しての専門性が高く、安心して依頼できる点が特徴です。整備工場は、多くの場合さまざまなメーカーに対応しています。
ガソリンスタンドは店舗が多いため、利便性が高いといえるでしょう。また、カー用品店では多くの種類の商品からバルブを選べるメリットがあります。
ヘッドライトに関する作業を依頼すると、2,000円程度の工賃がかかるでしょう。ディーラーの場合はこれよりも工賃が高めではありますが、基本的に純正部品で対応してくれます。ただし交換費用については、依頼先や車種によって変動する点を押さえておくことが大切です。
保証期間内なら無償での交換が可能
車の年式が新しい場合は、メーカー保証により無償で交換できるケースがあります。メーカー保証は一般的に、一般保証と特別保証に分けられています。
ヘッドライトに関しては、保証期間が新車登録日から3年もしくは走行距離6万kmの一般保証において、保証修理の対象となるでしょう。
ただし、エンジンやステアリングなどの走行に関わるパーツを対象とした特別保証は、新車から5年・10万kmと長期保証ですが、ヘッドライトは含まれないケースがほとんどなので保証書を確認してみましょう。
車のヘッドライトをLEDにするメリット
導入された当初は、高級車に多く実装されたLEDのヘッドライトですが、最近では幅広い車種に採用されています。
ヘッドライトは、LEDが実装されるまでハロゲンランプやHIDが一般的でした。ここでは、LEDヘッドライトのメリットについて詳しく見ていきましょう。
消費電力が少ない
LEDは省電力で稼働できるため、他のライトに比べて、バッテリーにかかる負担の少ない点が特徴です。一般的にハロゲンランプやHIDは、片側で35W~60Wほどの電力を使います。一方のLEDを使用した場合は、片側約30W~33Wです。
車はエンジンの回転を利用して発電するオルタネーターという機械を使用します。オルネーターで発電した電気をバッテリーに充電し、必要な部分に供給する仕組みです。
消費電力が少ないほどバッテリーに負担をかけることが少なくなるため、車の電力を消費LEDならヘッドライト点灯時に使う電力を節約でき、バッテリートラブルも起こりにくくなるでしょう。
寿命が長い
発光ダイオードという半導体を活用してLEDは光っています。ハロゲンランプやHIDと違い、物理的な劣化が少ないため高寿命です。ハロゲンランプの寿命は約1年、HIDは約3年といわれています。それに対してLEDは約15年で1万時間以上利用できます。
ただし、寿命は使用環境によって変化します。寿命に作用する要因はLEDの弱点である熱や振動です。そのため車用のLEDは弱点から守る加工が施されていますが、車の環境下によって熱や振動の影響度は異なります。
明るくなるまでが早い
ハロゲンランプやHIDは、起動速度は遅く光が安定するまで数秒かかります。LEDはレスポンスが早く、光量を瞬時に最大まで上げることが可能です。
夜間以外にトンネル内や夕暮れ時でも、少ないタイムラグで前方を照らせるので、運転の安定性が向上します。
また、パッシングによる走行中の意思疎通にも有用です。対向車に対して一瞬だけハイビームで照らすパッシングは、素早く点灯させる必要があります。LEDなら反応が良く、伝えるタイミングを逃しません。
車のヘッドライトをLEDにするデメリット
LEDのヘッドライトは、他のライトに比べて優れている点が多くありますが、多少のデメリットも存在します。主なデメリットは、寿命や省電力ということもあり購入時の価格が割高です。
また、LED特有の色合いは。場合によって見えにくく感じることもあります。ここでは、ヘッドライトをLEDにする際のデメリットについて確認していきましょう。
見えづらい状況がある
LEDライトは色温度によって色味が変化し、数値が高いと青色の成分が強くなります。青色が強いライトはデザイン性こそ上がりますが、照射範囲は狭く投光が暗い点に注意が必要です。特に雨の日は、ライトが反射することで、車線の色と同化してしまうことも考えられます。
その反面、ハロゲンランプやHIDは、色温度がLEDよりも低いので広範囲に光を照射できます。光の色合いによって前が見えにくいと感じる方は、LEDライトの中でも色温度が低いタイプを選ぶようにしましょう。
交換費用が高い
LEDヘッドライトは、他のライトに比べて価格が高い傾向にあります。LED自体の値段が高いだけでなく、ヘッドライトがバルブと一体になっているケースも多いでしょう。ユニット交換の場合、バルブ交換と比べ交換費も高くなります。
また、生産国によっても価格が違います。商品ごとで異なりますが、外国産は安く手に入る傾向ですが、性能は値段に比例することが多いでしょう。価格の安さだけで選ぶと、性能が低い場合もあるので注意が必要です。
対向車がまぶしく感じる
LEDヘッドライトは白っぽく光るため、対向車がまぶしく感じるという声も多く聞かれます。ネット上で行われたアンケートでも、約7割の人がLEDヘッドライトをまぶしいと回答した結果も出ているほどです。
LEDの配光特性が原因のひとつとして考えられますが、光軸や品質によってまぶしいと感じることもあるようです。バルブ交換時に光軸を狂わせることがあるので、慣れていない方は業者に依頼して交換してもらうようにしましょう。
また、品質が悪い商品を装備していると、よりまぶしく感じることが多いようです。トラブルを避けるためにも信頼性のあるパーツを使用するようにしましょう。
光量の熱が低い
ハロゲンランプやHIDは、点灯時に光源が熱を発生させます。その点、LEDは光源の発熱量が少なく、その代わりに基盤部分が強く発熱します。光源が発熱する場合は、ヘッドライトまで熱が伝わりやすいので雪や氷の解凍が可能です。
一方、内側の基盤部分が発熱するLEDは、ヘッドライトまで熱が届きません。ヘッドライトに付着した雪などを解凍できず、降雪時にヘッドライトに雪が積もってしまう状況が発生してしまいます。
ヘッドライトに雪が積もってしまうと、光が届かず視界が遮られるでしょう。そのため、ヘッドライトがLEDの車は多雪地域には不向きといえます。
車に装備するLEDヘッドライトの選び方
LEDヘッドライトは、メーカーによって明るさや色味など特徴が異なります。見た目の好みから選ぶことも大切ですが、機能面も重要です。
ここでは。LEDヘッドライトを選ぶ基準について確認していきましょう。重視したい特徴を明確にしておくと、選ぶ際もスムーズです。
光束(ルーメン数)を基準に選ぶ
LEDヘッドライトの明るさは車を運転する際に重要なポイントです。明るさはルーメン数で確認できます。ルーメン数とは光の総量を表す指標です。数値が大きいほど明るく、多くの光を照射できることを表します。
ただし、実際にはヘッドライトを通して照らすため、商品に記載される数値と実数値は異なります。商品によって表示方法が異なり、1本の数値や2本の総計などで記載されています。比較する際は、1本あたりの数値を参考にしましょう。
発光色の特徴で選ぶ
LEDヘッドライトでも色味によって見え方が異なります。LEDの発光色は、K(ケルビン)という色温度を表す数値で比較が可能です。数値が高いほど、白っぽい色味になります。
3,000Kくらいの黄色系は、空気中で乱反射をおこしにくく、広範囲を照らしやすいでしょう。5,000K前後の白色系は、暗がりを照らす視認性に優れています。そこから高くなると、青みがかった白色になり、より明るさが増します。
なお、Kが高くなるにつれて、対向車がまぶしいと感じることも多いため、それらの要素もプラスして検討するとよいでしょう。
冷却性能で選ぶ
LEDは従来のランプに比べて発熱量が抑えられています。しかし、内蔵されたチップに電力を流して光るため、基盤部分の熱が上がりやすくなります。放熱が不十分だと動作不良や故障の原因にもつながるため、冷却機能の選別は重要です。
主な冷却方法は、ファンを使った放熱と熱の排出を手助けするヒートシンクを搭載した商品があります。特に、ファンタイプは冷却性能が優れており、冷却効果を重視する方におすすめです。
しかし、ファンタイプは場所を取ってしまう点が懸念点です。スペースを使わず利用したい方は、ヒートシンクタイプを選ぶとよいでしょう。
取り付け方法から選ぶ
車への取り付け方法も比較して選びましょう。ヘッドライトには規格がいくつもあり、形状や対応車種が異なります。事前に、ヘッドライトを交換する車の規格をしっかりと確認しておきましょう。
またLEDバルブには、ドライバユニットとバルブ一体型になったものと別体型の2種類があります。一体型は、ドライバユニットとバルブが一緒になっているので、初心者でも設置が簡単です。
別体型は、適合している車種が多いため、設置の自由度が増します。自分で配置を自由に決められる分、知識や経験が必要なので玄人向けといえるでしょう。
まとめ
車のヘッドライトは、バルブ部分だけであれば自分で交換が可能です。DIYでのバルブ交換が難しい場合やユニット交換が必要な場合は、業者へ依頼することを検討しましょう。
ヘッドライトのバルブ交換では、ハロゲンバルブやHIDバルブ、LEDバルブなど各バルブの特徴を把握して選択することをおすすめします。
特にLEDは明るいだけでなく、消費電力が小さく長寿命です。ただし、交換費用の負担が大きいなどデメリットについても押さえておきましょう。
▼ライタープロフィール
小波津健吾
高山自動車短期大学を卒業とともに国家2級整備士資格を取得。その後、整備士として実務経験を積み重ね自動車検査員資格を取り、民間工場で検査員として従事した経歴を持つ。現在はメカニックや検査員の知識と経験を活かし、主に車系のメディアで執筆している。
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