S660にトランクはある?載せられる荷物や買う前に知るべきポイントを解説
ホンダS660は、軽自動車規格のオープンスポーツカーとして人気を集めていますが、その小さなボディサイズゆえに、トランクがあるのか不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
ドライブや旅行に出かける際、荷物をどれだけ車に積めるのかは気になるポイントです。S660のトランクや収納スペースに関する疑問を解消しましょう。
※目次※
・ホンダS660は本格的なスポーツカーとしての性能を持つ軽自動車規格の2人乗りオープンスポーツカー。
・ホンダS660にトランクはなく、フロントフード内にあるユーティリティボックスも、取り外したロールトップの収納スペースのため、積める荷物には限界がある。
・ホンダS660に乗るのであれば、荷物の積載については想定しないという割り切りも必要。
S660はどのような車?
S660の魅力的な特徴と各グレードの個性について、詳しく見ていきましょう。コンパクトなボディに凝縮された走りの楽しさが特徴のS660は、軽自動車ながら本格的なスポーツカーの性能を持っています。
基本スペックや各グレードの違いを知ることで、S660の魅力をより深く理解できるでしょう。
S660の基本スペック
S660は、ホンダが2015年から2022年まで販売していた軽自動車規格の2人乗りオープンスポーツカーです。コンパクトなボディに凝縮された走りの楽しさが魅力で、まるでカートに乗っているような軽快感を味わえます。
全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,180mmというサイズは、軽自動車の枠におさまる小回りの利くボディです。ホイールベースは2,285mmで、最小回転半径は4.8mと、狭い道でも扱いやすい設計になっています。
658ccという排気量ながら力強い走りを実現するエンジンは、水冷直列3気筒DOHCターボ搭載です。最高出力は64PS、最大トルクは104N・mで、軽量な車体と相まって俊敏な加速を生み出します。
変速機は6速MTとCVTの2種類が用意されており、運転の楽しさや燃費性能に応じて選択が可能です。燃費性能はWLTCモードでCVT は20.0km/L、6速MT は20.6km/Lと、スポーツカーながら経済性も考慮されています。
車両重量は6速MT車が830kg、CVT車が850kgと軽量で、燃料タンクの容量は25Lです。この軽さが、S660の俊敏な走りを支えているといえるでしょう。
項目 |
スペック |
全長×全幅×全高 |
3,395mm×1,475mm×1,180mm |
ホイールベース |
2,285mm |
車両重量 |
830kg(6速MT) 850kg(CVT) |
エンジン |
水冷直列3気筒DOHCターボ |
総排気量 |
658cc |
最高出力 |
47kW(64PS)/6,000rpm |
最大トルク |
104N・m(10.6kgf・m)/2,600rpm |
燃費(WLTCモード) |
20.0km/L(CVT) 20.6km/L(6速MT) |
各グレードの特徴
S660には3つのグレードがあり、それぞれ特徴的な内装と装備を備えています。ベースグレードの「β」は、ブラックを基調としたシンプルな内装が特徴です。スポーティーな印象のピアノブラックを随所にあしらい、シートにはメッシュ×ファブリックのスポーツファブリックシートを採用しています。
上級グレードの「α」はβと同じくブラックを基調としながら、インナードアハンドルやパーキングブレーキレバーノブにクロームメッキを施し、上質感を演出する仕上げです。
シートは本革とラックススエードを用いたスポーツレザーシートで、中央のラインがスポーティーさを強調します。最上級グレードの「Modulo X」は、内装色にボルドーレッド×ブラックを採用し、スポーティーさと上質感が両立した仕様です。
専用スポーツレザーシートやアルカンターラの本革巻きステアリングホイール、チタン製MTシフトレバーなど、素材にもこだわった上質な空間を演出します。
各グレードの装備面では、αとModulo Xには低速域衝突軽減ブレーキと誤発進抑制機能を備えた「シティブレーキアクティブシステム」が標準装備されており、安全性も万全です。またModulo Xには、専用のエアロパーツも装着されています。
2022年3月終了モデルのメーカー希望小売価格は、αが232万1,000円、βが203万1,700円、Modulo Xが304万2,600円という設定でした。
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S660にトランクはある?
S660のトランクについて詳しく見ていきましょう。S660には一般的な意味でのトランクはありませんが、フロントフード内にユーティリティボックスが設置されています。
このボックスの役割や使い方、さらにライバル車との比較を通じて、S660の収納スペースの特徴を確認しましょう。S660の魅力的な走行性能と引き換えに、荷物の積載にはどのような制限があるのか、具体的に解説します。
フロントフード内にユーティリティボックス
S660にトランクはあるのかという点ですが、結論としては、一般的な意味でのトランクはありません。しかし、フロントフード内にユーティリティボックスが設置されています。これは、小さな旅行バッグが収まる程度の、わずかな容量を持つ収納スペースです。
ただし、このユーティリティボックスには重要な役割があります。それは、オープン走行時に屋根となる「ロールトップ」を収納する場所としての機能です。つまり、オープンカーでの走行を楽しもうとすると、荷物を入れるスペースがなくなってしまいます。
S660がこのような設計になっている理由として、ミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)レイアウトを採用している点が挙げられるでしょう。
このレイアウトは、車体後部にエンジンルームを配置することで優れた走行性能を実現する一方で、その代償として、通常のトランクスペースを確保することが難しくなってしまうというのが実情です。
ユーティリティボックスの使い方
前述の通り、S660のユーティリティボックスには、脱着式ソフトトップであるロールトップを収納するという役割があります。ロールトップを取り外して、クルクルと筒状に巻くと、ユーティリティボックスにぴったり収まるサイズになるという設計です。
そのため、オープンカーでの走行時には、その他の荷物の積み込みは実質的に不可能といえます。また、このユーティリティボックス以外に、S660にはそれなりのサイズの荷物を積めるような収納スペースは確保されていません。
つまり、オープン走行をするのであれば荷物の積載については諦めるしかなく、ユーティリティボックスに荷物を積みたいのであれば、ロールトップの取り外しは諦める必要があるでしょう。
オープン走行を取るか、荷物の積載を取るかという二者択一を迫られるのは、S660に乗る場合の宿命といえます。
S660に乗るのであれば、軽自動車規格のコンパクトなボディに詰め込まれた最高のドライビング体験が得られる代わりに、荷物の積載については最初から想定しないといったある程度の割り切りが必要といえるでしょう。
競合車のトランクを確認
S660のライバル車として挙げられるのがダイハツコペンですが、S660とコペンには、トランクスペースの面で大きな違いがあります。
S660と同じくオープン仕様にもできるコペンですが、FFレイアウトを採用しているため、後部にトランクルームが確保されています。ルーフを閉じている状態であれば、9インチのゴルフバッグ1本を収納できるだけの広さがあるため、実用性は十分です。
さらに、ルーフをオープンにしている状態でも、大きさに制限は加わるものの、ハンドバッグ程度であれば収納できるスペースが確保されています。
S660とコペンのどちらを選ぶかは、走行性能と実用性のバランスをどう考えるかによって変わるでしょう。S660の爽快な走りを求めるか、コペンの使い勝手の良さを重視するか、自分のライフスタイルに合わせて選択することが大切です。
S660にあるトランク以外の収納スペース
S660は小型スポーツカーですが、注目すべきは限られたスペースを巧みに活用した収納スペースです。コンソール周りやその他の場所に、便利な収納が用意されています。
これらの収納スペースは、走行性能を損なわないよう配慮しつつ、必要最低限の収納力を確保する存在です。ここでは、S660に搭載されているさまざまな収納スペースについて、その位置や使い方を詳しく見ていきましょう。
コンソール周りの収納スペース
S660のコンソール周りには、限られたスペースを巧みに活用した収納スペースが設けられています。小さいながらも、便利に使える工夫が施された存在です。
フロントコンソールトレーは、シフトレバーの前方に位置し、スマートフォンや財布などを置いておくのに最適といえます。LED照明も付いているので、夜間でも置かれたものが見やすいのが特徴です。
コンソールポケットは、サイドブレーキレバーのすぐ横に設置されています。細長いポケットで、スマートキーや小物などの入れておくのに便利です。
リアコンソールトレーはサイドブレーキレバーの後方、左右のシートの間にあります。それほど深さはないものの、駐車券などの一時的な置き場として重宝するでしょう。
ドリンクホルダーは、リアコンソールに設置されています。ひとつしかないものの、ドライブ中の飲み物を置く上で便利に使えるでしょう。
これらの収納スペースは、一見すると少ないように感じるかもしれません。しかし、「走りを楽しむための車」というS660の設計思想を考えると、必要最低限の収納力は確保されているといえるでしょう。
運転中に必要なものを手の届く範囲に配置することで、スポーツカーとしての機能性と実用性のバランスが取られています。
その他の収納スペース
S660の収納スペースは限られていますが、グローブボックスやシートバックポケット、コンビニフックなど、コンソール周り以外にも工夫を凝らした収納が用意されています。
グローブボックスは助手席前面に位置し、キーロック機構が付いているので安心です。車検証や取扱説明書の保管に最適で、オープンカーでも大切な書類を守れるよう考えられています。
助手席のシートの後ろ側にあるバックポケットは、雑誌やタブレットなどの薄い荷物の収納に便利です。長距離ドライブの際などに、いろいろと活用できるポケットといえるでしょう。
ドリンクホルダーの上部、リア中央部にはコンビニフックが設置されています。買い物袋や小さなバッグであればかけておけるので、車内の整理整頓に役立つ存在です。
これらの収納スペースは、小さな車内を効率的に活用するために考え出された工夫といえるでしょう。限られたスペースながら、必要最低限の収納力は確保されています。
ただし、S660に乗る際には、持ち込む荷物を最小限に抑えるのがおすすめです。スポーツカーならではの走りを楽しむためにも、必要なものだけを厳選しておきましょう。
S660の競合である軽オープンスポーツカー
S660以外にも、魅力的な軽オープンスポーツカーがあります。S660と並ぶ人気モデルや、その先駆者となった名車を確認しましょう。それぞれの特徴や魅力、S660との違いについて解説します。
ダイハツコペン
ダイハツコペンは、S660と並ぶ人気の軽オープンスポーツカーです。その魅力は、多彩なデザインバリエーションにあります。「Robe」「XPLAY」「Cero」「GR SPORT」という4つの個性的なモデルが展開されており、自分好みの1台を選べるのが特徴です。
高剛性の「D-Frame」を採用することで、外板に樹脂を用いることが可能になり、これらの多様なデザイン展開が実現しました。
走行性能も3つのグレードから選択が可能です。日常使いに適した「STANDARD」、スポーティーな走りを楽しめる「S」、さらにはトヨタのモータースポーツ部門である「GAZOO Racing 」とコラボした「GR SPORT」と、幅広いニーズに応えています。
価格帯は188万円台~238万円台と、S660と比べてもリーズナブルな設定です。コペンの魅力は、個性的なデザインと軽快な走りで、オープンカーの楽しさを手軽に味わえる点にあります。
トランクスペースについては、S660よりも使い勝手が良く、日常的な買い物や小旅行にも対応できる容量を確保しています。これは、エンジンをフロントに搭載しているコペンと、ミッドシップレイアウトのS660との大きな違いといえるでしょう。
(参考:『コペン(ダイハツ)の中古車一覧|中古車の【ネクステージ】』)
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スズキカプチーノ
スズキカプチーノは1991年~1998年に販売されていた2人乗り軽オープンスポーツカーです。
S660の先駆者ともいえる存在で、その魅力は本格的なFRレイアウトにあります。本格的なスポーツカーのようなロングノーズ・ショートデッキスタイルを、軽自動車規格で楽しめるのが特徴です。
カプチーノの最大の特徴は、3ピース構造のルーフでしょう。これによりクーペ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンと、4通りのスタイルを楽しめます。これは量産車では世界初の特徴という点でも、いかに先進的な1台だったのかが分かるでしょう。
エンジンは、当初F6A型直列3気筒657 ccターボ、のちにK6A型直列3気筒658ccに変更されました。5速MTが標準で、後期モデルでは3速ATも選択可能になりました。
しかし、パワーステアリングは基本的に非装着で、これはダイレクトな操舵感を重視したためです。カプチーノは、現在でも中古市場における高い人気を保っています。S660のルーツともいえるこの名車は、今でも多くのファンを魅了し続けているのです。
(参考:『カプチーノ(スズキ)の中古車一覧|中古車の【ネクステージ】』)
ホンダビート
ホンダビートは、1991年~1996年に販売されていた2人乗り軽オープンスポーツカーです。その魅力は独自のミッドシップレイアウトにあります。
エンジンを運転席後方に配置することで理想的な重量配分を実現し、卓越した走行性能を誇りました。S660は、まさにこの車の後継モデルともいえるでしょう。
ビートの最大の特徴は、自然吸気エンジンを採用している点です。当時の自主規制上限値いっぱいである64馬力を8,100回転で発生させるという、ホンダらしい高回転型エンジンを搭載しています。これは、F1に投入していた高度な技術の結晶といえるでしょう。
また、前輪13インチ、後輪14インチと、前後で異なるサイズのタイヤを採用するなど、走行性能を突き詰めた仕様も特筆すべき点です。これらのこだわりが、今なお多くのファンを魅了し続けている理由といえるでしょう。
ビートも中古市場で高い人気を維持しています。S660のルーツともいえるこの名車は、販売終了から30年近くが経った現在でも、色あせない魅力を放ち続けているのです。
(参考:『ビート(ホンダ)の中古車一覧|中古車の【ネクステージ】』)
まとめ
S660は、ホンダがかつて製造していた2人乗りの軽オープンスポーツカーです。コンパクトなボディながら本格的なスポーツカーとしての性能を持っており、見た目以上に本格的な走りの楽しさを味わえます。
ただしS660には、トランクと呼べるようなスペースはありません。フロントフード内にユーティリティボックスが用意されていますが、これはオープン走行時に取り外したロールトップを収納するためのものです。
コンソールの周辺やグローブボックスなど、車内には多少の収納スペースがあります。とはいえ、収納量が十分にあるとはいえないでしょう。
S660の魅力は、軽自動車規格のコンパクトなボディながら最高のドライビング体験を得られるという点です。走りを選ぶのであれば荷物の積載については諦めるという割り切りが、S660に乗る上では必要といえるでしょう。
【この記事の執筆者】
五十嵐巧
大手出版社での書籍編集を皮切りに、25年以上にわたり書籍・雑誌・Webメディアの編集・ライティングに携わる。現在はフリーランス編集者・ライターとして活動し、複数の自動車メディアでもコンテンツの編集・執筆に取り組む。豊富な取材経験と専門知識を活かし、読者に信頼される情報を提供し続けている。
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