車の人気ジャンル分析レポート:第5回 欧州車Bセグメント
コンパクトな車体ながらも、欧州車ならではの高いデザイン性やブランディングによって国内で高い人気を誇る「欧州車Bセグメント(以下、欧州Bセグ)」について、意識調査をおこないました。
国内のユーザーは欧州Bセグに対して、手軽さに魅力を感じているのか。それとも高級感が支持されているのか。その人気の秘密を掘り下げていきます。
■はじめに
手軽なコンパクトカーでありながら、高級感やスポーティーなイメージも併せ持つ欧州のコンパクトカー。なかでも排気量1.0〜1.5Lが目安の「Bセグメント」と呼ばれるジャンルは、各メーカーが力を入れているクラスで、国内でも人気のモデルが数多くラインナップされています。
現行モデルだけでも、そのラインナップはフォルクスワーゲン ポロ、アウディ A1、MINI 3ドアハッチバック、MINI 5ドアハッチバック、プジョー 208、シトロエン C3、ルノー ルーテシアなどと豊富で個性的なモデルが並びます。これらに対して、ユーザーはどのようなイメージを抱いているのでしょうか。
ネクステージは全国の1101人(男女比6:4)の方にアンケートを実施。全国各地の20〜70歳までと、実に幅広い層から意見を聞くことができました。欧州Bセグを「実用的と捉えるか」、それとも「趣味の乗り物と捉えるか」で大きく意見が分かれるのですが、結果は非常に興味深いものとなりました。
■調査概要
調査内容:「車」に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2022年12月19日~2022年12月27日
有効サンプル数:21~70歳の男女1101名
■調査結果のサマリー
これまで4回に渡り、人気のジャンルを分析してきましたが、今回ほど回答がバラバラになったことはなかったと思います。その理由は先にも書いた通り、「欧州Bセグを実用的と捉えるか」「趣味の乗り物と捉えるか」の違いによるものと推測できます。
コンパクトカーといえば、一般的には実用的なお買い物車や家族のセカンドカーといったイメージがありますが、こと欧州Bセグに関していえば、決してそれだけには止まらない魅力を感じている人が多いようです。
実際にQ2「欧州Bセグの魅力」についての質問では、デザインや高級感、走りの質など、実用性とは直接関係のない項目がトップ回答率を得ており、またQ3「使い道」に関する質問でも「買い物」に次いで多かったのが「日帰りドライブ」と、実用性以外の回答となっています。
今回の調査は、欧州Bセグが持つイメージを改めて浮き彫りにしたといえるでしょう。
■調査結果
1/3以上の方が「いつか所有してみたい」プチ憧れモデル?
欧州Bセグを現在所有、またはかつて所有していた方の合計は34.4%。じつに1/3以上の方が「欧州Bセグの所有歴あり」という結果になりました。近年は輸入車のハードルは以前ほど高くないとはいえ、そのなかでも欧州Bセグはより敷居の低いモデルとして、多くのユーザーに親しまれているようです。
また、「いつか所有してみたい」と回答された方が35.2%いる点にも注目。ハードルが低く、入手しやすい輸入車として認識されているのではないでしょうか。
反対に「所有したいと思わない」も21.4%とやや多めの回答。その理由はさまざまでしょうが、輸入車に対する拒否反応ともいうべき理由がありそうですね。
実用性よりもデザインや走りへの魅力が高い
コンパクトカーの魅力といえば、真っ先に思い浮かぶのは「車体サイズ」や「運転のしやすさ」だという方は少なくないと思います。しかし、こと欧州Bセグに関していえば、決してそうではないようです。一番多い回答は「デザイン」で27.5%。次に「高級感」(17.8%)、「走りの質」(14.4%)と続きます。
このことから、多くの方は欧州Bセグに実用性以外の魅力を強く感じていることがわかりました。
「運転のしやすさ」(9.8%)、「車体サイズ」(7.9%)に次いで「ブランド、メーカーが好き」という回答が6.1%で続いたことにも要注目です。やはり、欧州車のブランドには特別な想いを抱くユーザーが多いようです。
日常使いができて、休日にも活躍
やはりコンパクトカーは、日常使いのしやすさがメリット……というわけで、トップは「買い物」の28.5%。しかし、2位の得票率19.6%を得たのは「通勤・通学」でも「家族の送迎」でもなく「日帰りドライブ」という意外な答えが来ました。日常使いに加えて、休日の日帰りドライブを楽しむというユーザーが多いようです。
つまり、欧州Bセグは毎日の足にもなるし、休日を満足させてくれる相棒にもなってくれる……ということでしょうか。
3位「通勤・通学」(17.4%)、4位「家族の送迎」(17.1%)が続いたあとは、「旅行」(12.5%)が5位を獲得しています。「実用」と「遊び」が互い違いでランクインしていることからも、欧州Bセグは日常使いと休日の両方を楽しめるジャンルだといえそうです。
一方で「デート」の回答率が2.2%と低かったのは、回答者の未婚率が28.5%と低めだったことが関係しているかもしれません。
乗っているだけで楽しい
車は移動手段であると同時に、趣味としての一面も持ち合わせています。以前調査をおこなった「スポーツカー」では、その傾向が特に強かったのですが、欧州Bセグでも同様の傾向が見られました。
もっとも多かった「目的がなくても車に乗ることが増えた」は30.3%。そして「運転が好きになった」が25.5%と続きます。このことから「乗るだけでも楽しいのが欧州Bセグ」といえるのではないでしょうか。
「特に変わったことはない」と答えたのは全体の13.3%のみ。つまり回答者のほとんどが、欧州Bセグを所有したことで、車生活の何かしらに変化があったということです。
300万円台がコアゾーン
50万円単位で価格帯を区切って質問をしました。もっとも多かったのは「301万〜350万円」の15.0%。次いで「351万〜400万円」が12.3%。つまり300万円台が多いという結果となりました。
また、3番目に多かったのが「251万〜300万円」で、251万〜400万円の範囲で4割近くを占めています。国産の同クラスと比べると、明らかに価格帯は高めです。欧州Bセグが実用重視のコンパクトカーに止まらないということが、車体価格からもわかります。
100万円以下が2.8%しかいないことから、新車はもちろん、中古車でも高値で取引されていることが推測できます。501万円以上が8.6%もあることにも驚きです。
欧州Bセグのライバルは欧州車
ほとんどの人が車を購入する際、何車種かのモデルを検討すると思います。ここでは、欧州Bセグの所有歴がある人に比較検討した車種やジャンルを聞いてみました。
もっとも多かった回答は「欧州車のセダン」(20.8%)。国産モデルでは見ることが少なくなってしまったセダンですが、欧州車では今なお高い人気を誇り、国内ユーザーからも高い支持を集めていることが明らかになりました。
他の「他の欧州車Bセグメント」(16.8%)と「欧州車Aセグメント」(16.7%)が僅差で続きます。さらに「欧州車SUV」、「欧州車ステーションワゴン」がそれぞれ14.9%、8.4%を獲得しています。
その次に、やっと「国産コンパクトカー」が登場。同じコンパクトカーとして欧州Bセグのライバルになるかと思いきや、多くのユーザーは国産コンパクトカーを比較対象として見ていないようです。さらに「国産軽自動車」にいたっては、「特になし」を除けば最下位でした。
絶対的な不満は見当たらない?
最後に不満な点を聞いたところ、回答はバラつきました。多かったのは「荷室が狭い」、「乗車定員が少ない」、「エンジンパワー」、「室内が狭い」の4つで、それぞれ11〜12%台で横並び。どれもコンパクトカーだと考えれば致し方のないものばかりといえるでしょう。
続いて、欧州車ならではの『維持費が高い』が7.9%を獲得しています。以下は、2〜6%の幅で横並び状態での回答が続きました。
多くの方が選択するような突出した不満は見当たらなかったことから、絶対的な欠点がないのが欧州Bセグである……と言ってもよさそうです。
■まとめ
今回の調査によって、ユーザーが欧州Bセグに抱くイメージは、一般的なコンパクトカーとは大きく異なることがわかりました。
デザインや走りの質が支持され、買い物や通勤・通学と並んで、休日のドライブに利用するユーザーが多いことも判明。購入時に比較検討したジャンルも、セダンやAセグ、他のBセグなど、欧州車が上位を占めました。
国産モデルがこれだけ充実しているなか、あえて欧州のコンパクトカーを選ぶということ……それがいかに特別なことなのかが、今回の調査で明らかになったといえるでしょう。
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