車のブレーキから異音が出ると危険?音鳴りの原因と対処法を紹介
自動車を運転していると、タイヤから発生するロードノイズなど、異音が聞こえてくることも珍しくありません。その中でブレーキから不快な音が発生することもあります。ブレーキの異音について、危険性はないのか気になる方もいるでしょう。
この記事では、自動車のブレーキから異音が発生する原因に触れつつ、危険性や対処法について解説します。ブレーキを構成する主要なパーツと交換費用も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
※目次※
・自動車のブレーキから異音が発生する場合、必ずしも危険性があるわけではない。
・ブレーキの異音は、ブレーキパッドの消耗を知らせるサインの場合がある。
・ブレーキの異音は放置せず、点検やメンテナンスを実施し、必要に応じてパーツを交換しよう。
車のブレーキから異音が出ると危険?
ブレーキは、自動車にとって欠かせないものであり、定期的に点検することが大切です。異音が発生した場合、不具合ではないのかと心配な方もいるでしょう。ここでは、ブレーキの異音とその危険性について解説します。
必ずしも危険性があるわけではない
自動車のブレーキから異音が発生したとしても、走行に支障がないケースもあるでしょう。乗用車の各車輪に付いているブレーキは摩擦によって制動力を得ているため、パーツ同士が接触する際に振動が伝わると、ブレーキ鳴きなどの異音につながります。
ブレーキの構造や摩擦材の特性などによって音がしやすいケースもあるため、必ずしも危険性があるとはいえません。ただし、中には危険なケースもあるので、注意が必要です。
普段と異なる音は不具合の可能性が高い
ブレーキペダルを踏んだときに発生する「キー」という高い音は、ブレーキ鳴きと呼ばれ、よくあるブレーキの異音のひとつです。摩擦材の残量が残っていれば、特に問題ない場合がほとんどでしょう。
ただし、「ゴー」や「シュー」という音など、不具合の可能性が高い異音があるため注意しましょう。また、音とともにハンドルやブレーキペダルに振動がある場合も、早めの点検をおすすめします。
車のブレーキから異音が出る原因
ブレーキからの異音はさまざまな原因によって発生します。異音の原因を押さえておくことで、過度に不安を感じることはなくなるでしょう。ここでは、ブレーキからの異音の原因について、3つの観点から解説します。ぜひ参考にしてみてください。
ブレーキパッドの残量交換の合図や素材が原因
乗用車の前輪には、主にディスクブレーキが採用されています。ディスクブレーキを構成する主要パーツであるブレーキパッドには、ウェアインジケーターが取り付けられており、残量が減ってくると音で知らせてくれるのです。
ウェアインジケーターの接触音がする場合は、ブレーキパッドの交換時期ですので、早めに対処しましょう。
また、ブレーキパッドに使用されている摩擦材には種類があり、素材によって異音の発生のしやすさが異なります。特に輸入車やスポーツタイプの自動車は、純正パッドでも比較的音がしやすい点を押さえておきましょう。
ブレーキパッドの劣化や異物が原因
ブレーキパッドの摩擦材の柔らかさが失われると、異音が発生しやすくなるでしょう。ブレーキパッドは摩擦により高温になるため高い耐熱性を有していますが、摩擦材の許容温度を超えると変質してしまいます。
長い下り坂でフットブレーキを多用すると高温になるため、エンジンブレーキを活用することが大切です。
また、ブレーキパッドとディスクローターの接地面に小石などの異物が入ると、異音の発生につながることがあります。
外部からの影響が原因
ブレーキパッドに挟み込まれるディスクローターは、鉄がむき出しの状態です。雨などでぬれるとすぐにさびてしまいます。このさびが異音の原因のひとつです。ある程度走行してブレーキを作動させると、軽いさびは取れるので、徐々に異音は小さくなるでしょう。
また、ブレーキが冷えているときや低速走行時は、ブレーキ鳴きが発生しやすいとされています。
車のブレーキから異音が聞こえた場合は?
ブレーキからの異音には、適切に対処することが大切です。定期的にメンテナンスを実施したり、必要に応じてパーツを交換したりと、いくつかの対処法があります。
異音が聞こえたときは放置しないようにしましょう。ここでは、ブレーキの異音発生時に実施する対処法を紹介します。
メンテナンスを行う
ブレーキ鳴きは、ブレーキからの異音の代表例です。ブレーキの各パーツの動きが悪いと発生しやすいため、接触部分にグリスを塗布するメンテナンスを実施しましょう。
法定点検を依頼する場合に、ブレーキ鳴きがあることを伝えると、グリスアップをしてくれるでしょう。また、ブレーキフルードの交換やエア抜きも一緒に依頼すると、トラブル防止につながります。
原因となる部品を修理する
ブレーキの異音はさまざまな原因により発生します。その原因を特定し、必要に応じて交換することが異音の対処法のひとつです。
ブレーキパッドが消耗しているケースや、ディスクローターが偏摩耗もしくはさびがあるケースなど、各パーツの状態をチェックして交換するかどうかを判断します。
また、ブレーキキャリパー内部やスライドピンに固着がある場合は、ブレーキがスムーズに作動しないため修理が必要です。
オーバーホールを実施する
ブレーキキャリパーやホイールシリンダーといったブレーキ作動の根幹となるパーツには、内部にゴム部品が使用されています。
これらのゴム部品が劣化すると、ブレーキフルードが漏れたり、ピストンが動きを妨げたりするため、オーバーホールを実施することも有効です。
ピストンを取り外して内部を清掃し、ゴム部品を取り換えることで、ブレーキ鳴きなどの異音が発生しにくくなるでしょう。
車のブレーキからの異音を放置すると?
ブレーキからの異音を放置すると、利きが悪くなるなどのトラブルに発展するでしょう。例えば、ブレーキパッドのウェアインジケーターから音が発生しているにも関わらず交換しなかった場合は、ディスクローターを損傷させるだけでなく制動力も落ちるため危険です。
またブレーキが利きっぱなしになる引きずりなどの作動不良があると、ブレーキパッドの消耗や劣化を促進する他、発熱によってフェード現象が発生しやすく制動力が低下します。異常を感じたら早めにプロへ点検を依頼することが大切です。
車のブレーキ音を改善する主な修理パーツと費用
自動車のブレーキの異音修理でどの程度の費用がかかるのか、気になる方もいるでしょう。ここでは、ブレーキを構成する主要パーツと、それぞれの交換費用の目安を紹介します。各パーツの特徴や役割も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ブレーキパッド
ブレーキパッドは、ディスクブレーキを構成する主要パーツのひとつです。1輪に2枚のブレーキパッドがあり、ディスクローターを挟み込むことで制動力を発生させます。徐々に消耗するので、少なくなったら交換が必要です。
摩擦材の角が立っていたり、摺動部(しゅうどうぶ)がさびていたりすると、ブレーキ鳴きにつながるためグリスアップや面取りなどのメンテナンスを依頼するとよいでしょう。
メンテナンスには1万円程度の費用がかかります。ブレーキパッドを交換する場合は、おおよそ1万円~4万円が交換費用の目安です。
ディスクローター
ディスクローターは円盤状で、主に鉄が使われています。ブレーキパッドよりは摩耗しにくいですが、さびや偏摩耗があると異音の原因となるため、程度に応じて交換が必要です。
輸入車に関しては、柔らかい素材が採用されているため、ブレーキパッドと同時交換するケースが多くあります。
ディスクローターは、前輪と後輪で分けて、左右の2枚を同時に交換するのが一般的です。この場合、3万円~5万円程度の費用がかかるでしょう。ただし軽自動車の場合は、これよりも安価なケースがほとんどです。
ブレーキフルード
ブレーキフルードは、ブレーキペダルの踏力を各車輪に配置されたブレーキまで伝えるのが役割です。水分を吸収する特性があり、沸点が下がるとベーパーロック現象という危険なトラブルの要因となるため、定期交換が推奨されています。
交換の目安は2年~3年なので、車検ごとに抜き替えを依頼するとよいでしょう。1万円以下の費用で交換できるケースがほとんどです。
ブレーキシュー
ブレーキシューは、ドラムブレーキに採用されているパーツです。ディスクブレーキのブレーキパッドと同様の役割を持っています。
ブレーキシューには前側と後側があり、ドラムと呼ばれる回転するパーツの内側に押し付けることで制動力を得る仕組みです。ブレーキシューも消耗した場合は交換が必要で、1万円程度の費用がかかるでしょう。
車のブレーキを長持ちさせる方法
自動車のブレーキは使用するほど消耗するので、運転の仕方によって寿命が短くなったり、長くなったりします。
修理や交換費用は高額になることが多いため、できるだけ長持ちさせることが維持費を抑える上で重要です。ここでは、ブレーキを長持ちさせる方法について解説します。
急ブレーキを避ける
ブレーキパッドやブレーキシューは、強い力が加わると早期に摩耗してしまいます。そのため、できるだけ急ブレーキを避けることが長持ちさせるポイントです。
走行スピードを抑えつつ、適度な車間距離を取ることで、強いブレーキを踏むシーンが少なくなるでしょう。ブレーキ自体の発熱を抑えることにもつながるので、ぜひ実践してみてください。
負担の少ない操作を心がける
ブレーキの負担を減らすためには、緩やかにブレーキペダルを操作することも重要なポイントです。また、エンジンブレーキを使用することで、ブレーキパッドやブレーキシューの使用頻度が下がり長持ちにつながります。
前方の交通状況を把握し、信号が赤に変わるタイミングなど減速が予測されるシーンでは、早めにアクセルペダルを離してエンジンブレーキをかけることでブレーキの負担を軽減できます。
違和感を覚えたら相談する
ブレーキは、安全に関わる最も重要な機能といえるでしょう。そのため、違和感を覚える場合は、早めに点検することが大切です。異音だけでなく、いつもより利きが悪いなどの不具合があるならプロに相談してみましょう。
メンテナンスをする場合も正しい知識が必要なため、整備工場などに依頼することをおすすめします。
まとめ
走行中に車のブレーキから異音が発生することもあるでしょう。ブレーキの異音は必ずしも危険を伴うわけではありませんが、原因を特定することが大切です。
ブレーキパッドの残量が少ない場合や異物のかみ込み、さびの発生など異音の原因はさまざまなので、プロに相談することをおすすめします。
また、ブレーキを長持ちさせるためには、安全運転を心がけることが大切です。スピードを出し過ぎないようにしつつ、緩やかな操作で運転するとよいでしょう。
【この記事の執筆者】
小波津健吾
高山自動車短期大学を卒業とともに国家2級整備士資格を取得。その後、整備士として実務経験を積み重ね自動車検査員資格を取り、民間工場で検査員として従事した経歴を持つ。現在はメカニックや検査員の知識と経験を活かし、主に車系のメディアで執筆している。
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