車両を購入したときの仕訳方法とは?5つの勘定項目を紹介
個人事業主や法人として車両を購入する場合、購入に関わる費用を経費として計上することが可能です。そして決算および確定申告の際は、減価償却による勘定科目の仕訳を行う必要があります。
しかし、車両の購入代がどの勘定科目になり、また減価償却が何年なのかなど詳細をご存じでない方も多いのではないでしょうか。本記事では車両購入での勘定科目の記入方法、減価償却の仕訳方法を紹介します。
「車両の購入を考えている法人の方」、そして「勘定科目の仕訳を初めて行う個人事業主の方」の疑問が解決につながるでしょう。
※目次※
・車両を購入して確定申告する場合は、勘定科目を計算する必要がある。
・勘定科目は多数あり、それによって課税区分も異なる。
・車両を購入した際は減価償却として複数年に分けて計上する。
車両購入の仕訳は難しい?
個人事業主や法人は、事業用・営業用途として車両を購入することがあるでしょう。その際に、コスト削減などの理由で中古車を購入した場合でも、経費として経費処理が可能です。節税にもつながります。
しかし、計上する際の勘定項目への理解が少ない方も多いのではないでしょうか。ここでは、中古車の勘定科目や、減価償却の計算方法を見ていきましょう。
仕訳で使うのは「勘定科目」
事業を展開するにはお金がかかります。確定申告の際に経費として計上するためには、そのお金を「誰に対してどのような目的で支払ったのか」を明確にする必要があります。
文章もただの羅列では、何が書いているのかすぐには分からないでしょう。「タイトル」があることで、内容の検討がつきます。
勘定科目も「タイトル」と同様です。科目は細分化されており、それに当てはめていきます。車の購入に当てはまる科目も用意されています。
主に5つの勘定科目だけで仕訳できる
車両の購入費用における主な勘定科目の種類は以下の5つです。あくまで基本的な勘定科目ですが、ここから車両本体価格は「車両運搬具」車庫証明手続きは「支払手数料」などと仕訳していくことで、より正しく記帳を進めていけるでしょう。
・車両運搬具
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・預託金
車両購入時の仕訳方法
車を購入すると車両自体の価格の他に、納車費用・検査登録代行費用・検査登録法定費用・リサイクル料金などがかかります。
購入時に税金がかかることは一般的に知られていますが、自動車取得税と自動車重量税の2種類があります。さまざまな費用がどの勘定科目に該当するか、整理して見てみましょう。
勘定科目は種類によって課税区分が異なる
車両を購入したときの費用は、車両本体価格・オプション費用・納車費用と多くの費用が発生し、分かりやすいとはいえません。
各費用がどの勘定科目に該当するのか、迷うこともあるでしょう。さらに勘定科目それぞれ課税の有無も異なります。以下の表で詳細をご確認ください。
勘定科目 |
含まれる費用 |
課税区分 |
車両運搬具 |
・車両本体価格 ・オプション費用 ・納車費用 |
課税 |
支払手数料 |
・検査登録代行費用 ・車庫証明手続き代行費用 ・資金管理料金 |
課税 |
・検査登録法定費用 ・車庫証明法定費用 |
非課税 |
|
租税公課 |
・自動車取得税 ・自動車重量税 |
不課税 |
保険料 |
・自賠責保険料 ・任意保険料 |
非課税 |
預託金 |
・リサイクル料金 |
不課税 |
ローン利用時は使用する勘定科目が増える
事業用車両の購入をした際に使用する勘定科目は基本的に以下のものがあります。
・車の購入:車両運搬具
・車の購入に必要な手続き:支払手数料
・かかった税金:租税公課
・自賠責保険などへの加入:保険料
さらにローンで車を購入した場合は、以下の勘定科目を使用できます。
・ローン(分割支払い)で支払い契約をした場合:未払金
・契約したローンにかかっている金利:支払利息
・リサイクル料金を支払った場合:預託金
車両購入時の仕訳に使用する勘定科目の詳細
ここでは、前述した「車両運搬具」「支払手数料」「租税公課」「保険料」「預託金」という5つの勘定科目の詳細を見ていきましょう。減価償却の対象となるか、どの程度の割合を経費として計上するか、それぞれ内容が異なりますので参考にしてみてください。
車両運搬具とは
車両運搬具とは「人や物を運ぶための車両」を意味しています。しかし、勘定科目としての車両運搬具の内容は「事業として車を購入してから取得するまでに発生する費用」すなわち取得価額です。
そのため車両本体やオプションパーツの価格だけでなく、引取運賃や購入手数料など納車に関わる費用も車両運搬具に含まれます。
そして、車両運搬具は固定資産の勘定科目です。決算の際には減価償却の対象となるため、前述した耐用年数を調べる必要があります。
支払手数料とは
支払い手数料は検査登録や車庫証明手続きにおいて発生する費用です。車を所有する上で支払う必要がある法定費用と、これらの手続きを代行してもらうために販売店に支払う手数料が含まれます。また、両者で課税区分が異なることも注意点です。
手続きの代行費用は車の購入から取得までの過程で発生するため、前述の車両運搬具に該当するように思えるのではないでしょうか。しかし、登録手続費用などは取得価額に含める必要はありません。
取得価額に含めない場合は減価償却することなく処理することが可能なため、節税につながります。しかし、税務署によっては含めることを推奨している場合もあるため、気になる方は管轄の税務署に確認してみるとよいでしょう。
租税公課とは
租税公課とは、事業を行う上で支払う税金や公的出費です。中古車の場合は「自動車取得税」「自動車重量税」が該当します。これらは購入時ではなく、納税通知書が届いたタイミングに支払うため取得価額に該当しません。
個人事業主の方などは車を事業用と自家用で兼用している場合もあるでしょう。この場合は事業で使用した分だけを経費として計上することが必要です。これを家事按分と呼びます。
家事按分の比率設定に明確な設定はありませんが、走行距離で考えるとスムーズです。例えば1年間で個人で使用した走行距離が7,000km、事業で使用した距離が3,000kmと仮定します。その場合、租税公課には全体の7割を経費計上しましょう。
保険料とは
保険料に該当するものは、主に加入が義務付けられている「自賠責保険」と個人の判断で加入する「任意保険」です。
これらは基本的に更新時期に支払った時点で費用計上します。自賠責は2年または3年分を一括で費用計上することも可能です。
一方、保険期間5年などの事業年度をまたぐ任意保険は一度、長期前払費用として資産計上します。その後、毎年度分を費用に振り替えて計上していきましょう。
預託金(預け金)とは
車両購入の勘定科目としての預託金(預け金)は、主に「リサイクル料金」のみです。リサイクル料金は将来その車が廃車となった際を想定して支払います。
支払いは車の購入時ですが、実際に料金が使われるタイミングは廃車時です。そのためリサイクル料金は廃車となるまでは預託金として資産計上し、実際に廃車になった段階で支払手数料などの費用科目に振り替えて費用処理します。
車両購入時の仕訳をシミュレーションしてみよう
車の購入にはさまざまな費用がかかります。支払った費用は全て仕訳の対象となりますが、現金一括で購入した場合とローンで購入した場合は計上方法が異なります。ここでは、現金一括とローンとでのシミュレーションをしてみましょう。
現金一括で購入したときの勘定科目の仕訳
車を現金で購入した場合の勘定項目の仕分け例は、以下の通りです。
借方 |
貸方 |
備考 |
||
車両運搬具 |
300万円 |
現金 |
320万円 |
車両代 付属品 諸経費 |
租税公課 |
10万円 |
自動車取得税 自動車重量税 |
||
保険料 |
3万円 |
自賠責保険 |
||
支払手数料 |
5万円 |
登録手続費用 |
||
預託金 |
2万円 |
リサイクル料 |
なお、車両運搬具は「減価償却」が可能です。その場合には耐用年数を確認する必要があります。詳細は国税庁が発行している「主な減価償却資産の耐用年数」を参照しましょう。
例えば取得金額が300万円の新車(小型自動車)の場合、耐用年数は4年ですから、4回に分けて償却していきます。借方の減価償却費、貸方の車両運搬具ともに75万円で計上します。
ローンで購入したときの勘定科目の仕訳
現金一括で購入したときと同様の条件で、ローンで支払った場合の勘定科目の仕訳をシミュレーションしましょう。
借方 |
貸方 |
備考 |
||
車両運搬具 |
300万円 |
未払金 |
320万円 |
車両代 付属品 諸経費 |
租税公課 |
10万円 |
自動車取得税 自動車重量税 |
||
保険料 |
3万円 |
自賠責保険 |
||
支払手数料 |
5万円 |
登録手続費用 |
||
預託金 |
2万円 |
リサイクル料 |
車両運搬具300万円、租税公課10万円、保険料3万円、支払手数料5万円、預託金2万円が借方に分けられるのは、現金一括の場合と同様です。しかしそれらをまとめた貸方は、「未払金」の320万円として仕訳をします。
返済時の利息は、借方に未払金5万円、支払利息5,000円などと計上し、貸方に「普通預金」5万5,000円として、元本と利息の勘定科目を分けて記載します。
借方 |
貸方 |
||
未払金 |
5万円 |
普通預金 |
5万5,000円 |
支払利息 |
5,000円 |
車両購入時の仕訳における資産計上の注意点
事業用に車を購入すると、費用を経費として計上できます。車が高額なので、購入年に一括で計上するのではなく、複数年に分けて計上する「減価償却」という方法で計上するのが一般的です。
また、購入した事業用車両はプライベートでも使用できます。その場合は全額ではなく一部を計上します。仕訳時の資産計上の注意点を見ていきましょう。
車の購入は減価償却の対象になる
車や建物といった固定資産は、全額を経費として計上できません。その理由は、時の経過とともに資産価値が下がるからです。
そのため「減価償却」として、取得価格を原価として複数年に分けて経費に計上していきます。車を購入した際は、減価償却による計算が必要となるのです。
減価償却をする年数は税法で定められています。勘定科目の仕訳を行う際は、固定資産の償却年数をあらかじめ調べておきましょう。
30万円未満で購入した車両の場合は一括計上ができる
コストの削減や急遽必要になったがために、すぐに手に入る安価な中古車を購入する場合もあるでしょう。車の購入は減価償却として勘定科目への計上が必要ですが、購入代金が30万円未満の場合は、一括で計上できるという特例があります。
ただし、少額減価償却資産の特例は、その年の取得価格の合計が300万円までです。なお、青色申告の場合、減価償却費の計算の概要欄に「措法28の2」との記載が必要となります。
業務用車両として割り切った車を購入する場合の節税対策となりますので、覚えておきましょう。
プライベートで使用すると経費にできるのは一部になる
法人が多数所有する車両の中の1台として購入するのではなく、個人事業主が車両を購入する場合、自家用車としての使用も考えるのではないでしょうか。
業務用車両を仕事以外のプライベートで使用する場合、車両の全額を経費にすることはできません。代わりに「家事按分」として計算し費用を計上します。
家事按分の割合は明確に定められていません。事業主の裁量で決められます。ただし、税務署から問い合わせがあったときには、明確な根拠を示す必要があります。
個人事業主の場合は車の所有権を確認しよう
個人事業主が車を購入しても、プライベートで使用することができ、その一部を経費として計上することが可能です。
その場合、該当する車両の名義は原則本人にする必要があります。ただ、生計を共にする親族の名義であれば例外的に経費への計上が可能です。個人事業主であれば、業務用車両を自分の裁量で決定し購入可能できます。
事業で使う車両購入時の選び方
事業用として中古車を購入する際には、勘定科目以外にコスパの良い車選びも重要です。購入後に使い勝手が悪い車や故障の多い車は、個人・法人問わず無駄な出費となります。
損のない車を購入するためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。この項目で中古車選びのコツを見ていきましょう。
予算を決める
中古車を購入する際はまず予算を決めましょう。予算を決めることで選択肢を絞り、購入する車をスムーズに決めることが可能です。
ただし、中古車はさまざまな価格帯の商品が存在します。価格があまりに安いものは極端に選択肢を狭めてしまう他、購入後の故障による修理費で損をするかもしれません。生活や事業に影響がない範囲で、ある程度まとまった金額を用意しておくとよいでしょう。
用途に合った車種を選ぶ
家事按分するときには、車種を考えることが必要です。「コスパを重視する方」は軽自動車「アウトドアを楽しむ自家用車としても使いたい方」はSUVやミニバン「多くの荷物を運搬する方」にはステーションワゴンといったように、自身の用途に合った車種を明確にしておきましょう。
車の状態や年式の目安を決める
車の状態や年式の目安を決めておくことで、車の使用感や許容範囲を絞って車選びが行えます。基本的に状態が良く、年式が新しいほど価格も高い傾向にあるため、先に設定した予算の中から良いものを選びましょう。
人気のない車種やすでにモデルチェンジが行われた車は、比較的新しい年式でも状態の良い車も存在します。多くのカタログを見て慎重に探しましょう。
PR良質な国産中古車が続々入荷中
※価格は支払総額
まとめ
法人や個人事業主が車を購入した際は、経費として計上できます。そのときの仕訳方法は、購入方法(現金一括またはローン)で異なります。ローンの場合は利息も仕訳する必要があります。
これは新車に限らず中古車でも同様です。また、経費計上する際は一括ではなく減価償却として複数年に分けて計上します。
事業用車両はプライベートでも使用可能です。その場合は全額ではなく一部しか計上できません。ただし、その割合は申告者の裁量で決められます。正しく仕訳することで節税につなげることもできるでしょう。
▼ライタープロフィール
北野晶夫
オートバイ雑誌と自動車WEB媒体の編集部員を経験後に独立し、フリーの記者・編集者となり現在に至る。
新車取材の他チューニングカーやレースの取材なども行う。写真撮影も行い、撮影・執筆・編集と一連の制作を担当することが多い。読者のカーライフを応援できる記事づくりがモットー。
豊富なラインアップのネクステージ中古車情報をチェック!
いかがでしたか。今回の記事が中古車購入を検討しているあなたの参考になれば幸いです。
ネクステージでは、他店に負けない数多くの中古車をラインアップしていますので、中古車の購入を検討されている方は、ネクステージの公式Webサイト上で最新の在庫状況をチェックしてみてください。また中古車購入に際して、ネクステージ独自の保証もご準備しております。お気軽にお問い合わせください。