中古車の減価償却をシミュレーション!計算方法や新車との違いは?
法人・個人問わず、事業用として車を購入する場合は帳簿へ記入しなくてはなりません。その際に必要になるのが「減価償却」です。
減価償却は一括で処理できないため、数年にわたって経費処理を行います。また、新車と中古車では耐用年数が異なることから、年間にどのくらいの金額を計上できるのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、中古車における減価償却をシミュレーション、減価償却の概要と処理方法の違いを解説します。減価償却を行う際の注意点も紹介しますので、スムーズな経費処理に役立ててください。
※目次※
4.自分でのシミュレーションは難しい?中古車の減価償却の計算方法
・減価償却には「定額法」と「定率法」があり、選ぶ償却方法によって計算式が変わる。
・減価償却のシミュレーションは計算式が分かれば個人でもできる。
・事業用の車を中古車で購入する場合は、耐用年数がどのくらいあるかで節税効果が変わる。
中古車の減価償却をシミュレーションしてみよう
「事業用の車に中古車はふさわしいのか」と考える方もいるでしょう。中古車は新車に比べ節税効果が期待できるため、あえて中古車を選ぶ方もいます。特に節税効果が高いといわれているのは、4年落ちの車です。
まずは、3年落ち・4年落ち・5年落ちそれぞれの減価償却費を、定額法・定率法に分けてシミュレーションしてみましょう。
3年落ちのシミュレーション
3年落ちとは、初年度登録から3年が過ぎた車です。ここでは、取得価額180万円の普通自動車を例に減価償却費を見てみましょう。なお、定率法の償却保証額・消費税については割愛しています。
まずは、定額法のシミュレーションです。
定額法の減価償却 |
・計算式:取得価額×定額法の償却率 ・耐用年数:6-3+(3×0.2)=3.6年 ※小数点以下は切り捨てのため、耐用年数は「3年」 ・3年の償却率:0.334
180万円×0.334=60万1,200円
60万1,200円を3年で償却します。 |
定率法は未償却残高に償却率をかけるため、定額法のように一定ではありません。
定率法の減価償却 |
・計算式:未償却残高×定率法の償却率 ・耐用年数:6-3+(3×0.2)=3.6年 ※小数点以下は切り捨てのため、耐用年数は「3年」 ・3年の償却率:0.667
1年目:180万円×0.667=120万600円 2年目:180万円-120万600円×0.667=39万9,799(小数点は切り捨て) 3年目:180万円-160万399円×0.667=13万3,133(小数点は切り捨て) |
4年落ちのシミュレーション
次に、4年落ちのシミュレーションを見てみましょう。3年落ちと同じく、取得価額180万円の普通自動車を例とし、定率法の償却保証額・消費税は割愛しています。
定額法の減価償却 |
・計算式:取得価額×定額法の償却率 ・耐用年数:6-4+(4×0.2)=2.8年 ※小数点以下は切り捨てのため、耐用年数は「2年」 ・2年の償却率:0.500
180万円×0.500=90万円
90万円を2年で償却します。 |
定率法のシミュレーションを見てみましょう。
定率法の減価償却 |
・計算式:未償却残高×定率法の償却率 ・耐用年数:6-4+(4×0.2)=2.8年 ※小数点以下は切り捨てのため、耐用年数は「2年」 ・2年の償却率:1.000
1年目:180万円×1.000=179万9,999円
残存価格の1円は、事業で使わなくなった際に除去処理を行います。 |
5年落ちのシミュレーション
最後に、5年落ちのシミュレーションを見てみましょう。取得価額180万円の普通自動車を例とし、定率法の償却保証額・消費税は割愛しています。
定額法の減価償却 |
・計算式:取得価額×定額法の償却率 ・耐用年数:6-5+(5×0.2)=2 ・2年の償却率:0.500
180万円×0.500=90万円
90万円を2年で償却します。 |
定率法のシミュレーションを見てみましょう。
定率法の減価償却 |
・計算式:未償却残高×定率法の償却率 ・耐用年数:6-4+(4×0.2)=2.8年 ※小数点以下は切り捨てのため、耐用年数は「2年」 ・2年の償却率:1.000
1年目:180万円×1.000=179万9,999円
残存価格の1円は、事業で使わなくなった際に除去処理を行います。 |
固定資産の中古車は減価償却が必要になる
車であれ文房具であれ、事業で使うという点ではどちらも同じ「経費」です。では、なぜ車には減価償却が必要になるのでしょうか。
経費処理を行う上で、扱う経費の性質を知ることは非常に大切です。正しい経費処理が行えるよう、減価償却と処理に欠かせない耐用年数それぞれの概要を確認しましょう。
減価償却とは
国税庁のホームページによると、減価償却とは「減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続き」のことを指すと明記してあります。減価償却資産とは、時間の経過とともに価値が減っていく固定資産です。
固定資産は「販売や流通を目的としない」ことが大きな特徴で、有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産に分けられます。
その内、減価償却資産に該当するのは有形固定資産の自動車・建物・機械・建物付属設備など、無形固定資産のソフトウエア・営業権・特許権などです。
これらは1年以上の時間をかけて費用化されることから、購入年度の費用として一括計上できません。
もう少し簡単に言い換えると、1年ごとに価値が下がる「車」という「資産」の購入費用を、何年かに分けて経費計上する手続きということです。
耐用年数とは
対象となる固定資産について、税法上定められている利用可能な年数のことを耐用年数と呼びます。例えば、一般用に用いられる新車の普通自動車なら6年、運送事業用に使用される新車の普通自動車なら4年というように、資産の構造・用途に応じた細かな設定です。
減価償却では、この耐用年数の期間に分けて経費計上を行います。耐用年数6年の車であれば、償却期間は購入した日から6年です。耐用年数は定額法・定率法どちらにも設定されていますが、処理方法の性質上償却率は異なります。
なお、自動車メーカーが「おおよそ○○年は利用可能」と保証している年数は耐久年数と呼ばれ、耐用年数とは異なるため注意しましょう。
新車と中古車の減価償却は耐用年数が異なる
事業用の車として中古車を購入する場合、新車と同じく減価償却は必要です。しかし、中古車と新車では耐用年数の考え方が異なり、購入した車の初年度登録年によっても耐用年数が変わります。
誤った耐用年数で処理をしてしまうと正しい経費処理が行えなくなるため、中古車における耐用年数の考え方をしっかり理解しておきましょう。
新車の場合の耐用年数は6年、軽自動車は4年
車を購入する際には修理費などがかからず、できるだけ長く乗れる車が望ましいでしょう。耐用年数とは、業務用として使用する際の資産価値の計算に用いられる年数です。会社の資産は納税額を左右することから、会社が資産価値を決めることはできません。
そのため、耐用年数は法律で「法定耐用年数」という形で定められています。
普通自動車を新車で購入した場合の法定耐用年数は「6年」、軽自動車は「4年」です。時間の経過とともに価値が変動するため、中古車は新車の法定耐用年数を基準に消化分を差し引いて計算します。
(参考: 『減価償却資産の耐用年数』)
中古車の耐用年数の計算方法
中古車の購入時に耐用年数を経過している場合と、経過していない場合で計算方法が異なります。計算式はそれぞれ以下の通りです。
購入時に耐用年数を経過している場合 |
耐用年数×0.2 |
購入時に耐用年数を経過していない場合 |
(耐用年数-経過年数)+(経過年数×0.2) |
なお、1年未満の端数は切り捨てとなり、計算結果が2年未満の場合は「耐用年数を2年」とします。
中古車の耐用年数の一覧
車の減価償却費を計算するには、耐用年数が必要です。多少面倒に思える計算ですが、一度マスターしてしまえばそれほど難しくありません。注意点は、一般的に使用する簡便法は、中古車購入費用が再取得価額の50%を超える場合は使用できない点です。
下記表は、初年度登録後1年~7年経過した中古車の耐用年数です。参考にしてください。
初年度登録からの経過年数 |
1年 |
2年 |
3年 |
4年 |
5年 |
6年 |
7年 |
|
軽自動車
|
再取得価額50%未満 |
3 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
再取得価額50%以上 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
|
普通乗用車
|
再取得価額50%未満 |
5 |
4 |
3 |
2 |
2 |
2 |
2 |
再取得価額50%以上 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
(単位:年数)
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自分でのシミュレーションは難しい?中古車の減価償却の計算方法
減価償却には「定額法」と「定率法」があり、法人は原則として「定率法」を、個人事業主は「定額法」を使用します。車の減価償却に関しては、事前に届け出ることで償却方法の変更が可能です。
それぞれ計算方法が異なるため、まずは自社でどの方法を採用しているかを確認しましょう。ここでは、中古車の減価償却の計算方法を定額法と定率法に分けて紹介します。
計算方法1:定額法
比較的シンプルな計算方法は、定額法です。資産の耐用年数期間内に、毎年同額の減価償却費を計上していきます。
定額法の計算式は以下の通りです。
減価償却費=取得価額(中古車の購入費用など)×定額法の償却率 |
上記の計算式は「年間」の減価償却費となるため、年度の半ばで中古車を購入した場合は年度末までの月案分をしなくてはなりません。月案分する場合の計算式は以下の通りです。
減価償却費=取得価額×定額法の償却率×年度内に使用した月数÷12 |
計算方法2:定率法
定額法と異なり、定率法では未償却残高に一定の償却率をかけて算出します。そのため、事業年度ごとに計上する減価償却費の額は異なりますが、初年度以降は減価償却費が減少していく点が特徴です。
計算式は以下を参考にしてください。
減価償却費=未償却残高×定率法の償却率 |
未償却残高は、取得額から前年の減価償却費を引いた金額です。1年目は前年の減価償却費がないため取得額に償却率をかけて算出しますが、2年目以降は取得額から前年の減価償却費を引いた金額が未償却残高となります。
定額法と同じく、年度半ばで中古車を購入した場合は月案分が必要です。計算式は以下を参考にしてください。
減価償却費=未償却残高×定率法の償却率×年度内に使用した月数÷12 |
なお、定率法では減価償却費が償却保証額を下回った場合、改定取得価額と改定償却率を使った計算に変わるため注意しましょう。
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中古車の減価償却をシミュレーションするときのポイント
中古車の減価償却は、新車に比べ計算が複雑です。また、定額法・定率法によって計算方法や仕分けが異なるため、個人事業主の場合は「どの方法を選ぶか」を慎重に考えなくてはなりません。
ここでは、減価償却に関する3つのポイントを紹介します。
定額法と定率法は慎重に判断する
原則として、個人事業主は定額法、法人は定率法を使用します。しかし、個人事業主であればその年の確定申告期限まで、法人であればその年の法人税申告期限までに税務署に申告をすれば償却方法の変更は可能です。
どの償却方法を使うかは、それぞれの特性を理解した上で決める必要があります。定率法と定額法のメリット・デメリットは、以下の通りです。
|
メリット |
デメリット |
定額法 |
・計算しやすい ・帳簿管理が楽 |
・初年度の節税効果が低い |
定率法 |
・資金回収が早い ・初年度の節税効果が高い |
・計算が複雑
|
経費処理にかける時間と負担を減らしたい場合は定額法が、初年度の経費を多く算出したい場合は定率法が向いています。しかし、定率法が年を追うごとに減価償却費は少なくなるため、後半の節税効果はそれほど期待できません。
償却方法の変更には申告が必要になること、償却期間内は帳簿記入が必要になることを念頭に置き、最も最善な方法を選ぶようにしましょう。
計算が難しいときは専門家に相談する
車に限らず、減価償却資産がある場合はそれぞれの帳簿管理が必要です。保有する資産よって耐用年数や償却率が変わり、採用する償却方法によって計算方法も変わります。
中古車のようにより計算が複雑になる場合は、経理担当者であっても不安が生じることもあるでしょう。また、一人で全ての帳簿管理をする個人事業主であれば、その不安はより大きくなります。
減価償却の計算に不安がある、貸借対照表や損益計算書への書き方が分からないという場合は、税理士に相談してアドバイスをもらいましょう。
税理士が間に入ることで、正しい申告ができるだけでなく節税効果も期待できます。なお、税理士の顧問料や相談料は経費として計上可能です。
耐用年数が長い中古車を選ぶ3つの方法
事業用の車として中古車を選ぶメリットは、新車よりも耐用年数が短いことによる節税効果です。しかし、中古車の耐用年数は「初年度登録年」を基準とするため、古い車ほど償却期間が短くなります。
定額法・定率法どちらを使うかに関係なく、できるだけ耐用年数の長い車を選ようにしましょう。ここでは、耐用年数が長い中古車を選ぶ方法を3つ紹介します。
耐用年数を含めて販売店に相談する
耐用年数の計算に不安を感じたり、計算が面倒だったりする方におすすめの方法があります。それは、車の販売店のスタッフに耐用年数を計算してもらうことです。
登録済未使用車は、ほぼ新車同様ですが便宜上中古車販売店で販売されています。中古車販売店のスタッフは、法定耐用年数の計算にも精通していることが多く、その場ですぐに計算してくれるケースもあるでしょう。
売却した際に大きな損失が出ないようにすることも考えて、車種選びから相談するのもおすすめです。何台か目ぼしい車を選び、その中から最も耐用年数が長く、リセールバリューが高い車を選ぶとよいでしょう。
ネットを利用して計算する
中古車販売店に出向く時間がないという方は、インターネットを使用して耐用年数を自動計算する方法もあります。耐用年数の一覧表を参考に「購入済の車」「検討中の車」それぞれの耐用年数を調べられます。
耐用年数の計算によって税金を算出する際には、国税庁の相談窓口に問い合わせるのもひとつです。各自治体によって国税庁の相談窓口は異なるため、所轄の税務署に電話をかけて相談してみるのもよいでしょう。
メンテナンス費は新車時車両価格の50%以下
節税を目的として事業用の中古車を購入する際の注意点として、中古車のメンテナンスにかかった費用が新車購入価格の50%を下回っているかいないか、という点が挙げられます。
中古車のメンテナンス費用が新車(中古車と同車種及び同グレード)の購入価格の50%を上回ってしまうと、耐用年数は普通自動車なら6年、軽自動車なら4年となり新車と変わりません。
節税を目的として中古車を購入した場合は本末転倒になってしまうため、メンテナンス費用は新車購入価格の50%を下回るように意識しましょう。
中古車購入で減価償却する際の注意点
事業用の車として中古車を購入する場合は、減価償却がいつから始まるのかを理解しておきましょう。また、これまで乗っていた車を売り、中古車に買い替える場合も注意が必要です。
ここでは、中古車購入における減価償却の注意点と、事業用の車を売却する際の注意点を紹介します。
取得日の違いで計算の難しさが変わる
固定資産の減価償却は、年単位ではなく月数の割り振りです。車の取得日が事業年度初月の場合は、12か月分の減価償却費を経費として計上可能です。しかし、年度途中が取得日の場合は月数計算となり、事業年度中の残り月数のみしか計上できません。
法的な車の取得日とは、一般的には車の納車日(実際に使い始めた日)を指します。固定資産の使用開始時は「事業の用に供した日」とされていることから、契約した日と納車日が月をまたぐ場合は注意しましょう。
節税対策を意識する場合は、事業年度の始めが取得日となるように予定を組むことがおすすめです。
車の売却益は譲渡所得の申告が必要
個人事業主が事業用の車を売却し、利益が生じた場合は、譲渡所得の申告が必要です。譲渡所得には50万円の特別控除があるため、全ての利益が課税対象になるわけではありません。
また、事業用とプライベート用を家事案分している場合は、事業用の使用割合に応じた申告を行います。併せて注意したいのは、売却した車の使用年数です。
5年未満の場合は「短期譲渡所得」となり、譲渡所得額全額が課税対象となります。一方、5年以上の場合は「長期譲渡所得」となり、課税対象となるのは譲渡所得額の1/2の額です。
インボイス登録をした課税事業者の場合は、消費税の申告も必要となるため注意しましょう。なお、法人の場合は事業所得となり、利益が出た場合は法人税・所得税の納税が必要です。
まとめ
中古車を事業用として購入した場合は、法人・個人関係なく減価償却が必要です。減価償却費用は購入した車の取得額と耐用年数で異なり、定額法か定率法かでも変わってきます。
中古車の減価償却は新車に比べ複雑な部分があるため、計算式方法や帳簿記入に不安ある場合は、税理士や管轄税務署に相談するようにしましょう。
事業用の車に中古車を選ぶと節税効果が期待できます。より高い節税効果を目指すのであれば、中古車販売店で耐用年数を含んだ車選びをサポートしてもらいましょう。
▼ライタープロフィール
中村浩紀 なかむらひろき
クルマ記事に特化したライター
現在4台の車を所有(アルファード・プリウス・レクサスUX・コペン)。クルマ系のメディアでさまざまなジャンルの記事を執筆し、2024年1月までに300記事以上の実績をもっている。
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いかがでしたか。今回の記事が中古車購入を検討しているあなたの参考になれば幸いです。
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