ハイブリッド車のバッテリーはいつ交換する?寿命や費用の目安は?
エンジンとモーターを使って走行するハイブリッド車にも、バッテリーが備わっています。
ガソリン車のバッテリーと同じ蓄電池の役割を果たしますが、ガソリン車に搭載されるバッテリーと数も異なり、同じものでもありません。ハイブリッド車に搭載されるバッテリーはどのようなものなのでしょうか。
この記事では、ハイブリッド車に搭載されるバッテリーの種類や交換時期、交換にかかる費用などを紹介します。この記事を読むことで、ハイブリッド車の維持費に役立つ情報が得られるでしょう。
※目次※
2.ハイブリッド車もガソリン車のようにバッテリー上がりが起こる
7.中古のハイブリッド車を買うならバッテリーの寿命も考慮しよう
・ハイブリッド車は、駆動用バッテリーと補機用バッテリーの2種類を搭載している。
・ハイブリッド車のバッテリーは劣化に気付きにくいことから、定期的な点検が大切。
・補機用バッテリーはガソリン車のバッテリーと同じ鉛バッテリーを使っているため、3年~5年程度で交換が必要。
ハイブリッド車は2種類のバッテリーを搭載している
ガソリン車はエンジンルームに、エンジン始動や電装品に電力を供給するためのバッテリーが備わっています。
ハイブリッド車はエンジンルームにバッテリーはなく、駆動用バッテリーと補機用バッテリーの2つが備わっているのが特徴です。ここでは、ガソリン車とハイブリッド車のバッテリーの違いを紹介します。
駆動用と補助用のバッテリーがある
ハイブリッド車は、ガソリン車にはない駆動用バッテリー・補機用バッテリーを搭載しています。
補機用バッテリーは、ハイブリッド車の基本システムを起動するための電源です。駐車する際のバックアップメモリーとしても使用します。主な設置場所は、後部座席の下やトランクルームです。
一方、駆動用バッテリーはハイブリッド車の電気モーターに電力を送るものです。補機用バッテリーよりも大容量であることから「メインバッテリー」とも呼びます。
リチウムイオン電池やニッケル水素電池を使用するのが一般的で、大容量な分バッテリー上がりが起こりにくい点が特徴です。
ガソリン車とは異なる位置に搭載する傾向がある
ガソリン車に搭載されるバッテリーは、エンジンルーム内に設置されているのが一般的です。ボンネットを開けてすぐ見える位置にあるため、見たことがある方もいるでしょう。
一方で、ハイブリッド車の補機用バッテリーはエンジンルームではなく、トランクルーム内に設置される傾向にあります。トランクルーム内といっても、リアゲートを開けて目に入る位置に設置されているわけではありません。
内装パネルなどを外した場所に設置されていることが多く、バッテリーの存在に気付かず乗っている方もいるでしょう。
ハイブリッド車もガソリン車のようにバッテリー上がりが起こる
ガソリン車はバッテリーを1個しか搭載していませんが、ハイブリッド車はバッテリーを2個搭載している分、バッテリー上がりしにくいのではと思う方もいるのではないでしょうか。
ハイブリッド車もガソリン車と同じく、バッテリー上がりを起こす可能性があります。ここでは、バッテリー上がりが起こる原因と対処法をチェックしましょう。
バッテリーが上がる原因
バッテリーが上がる原因は、消費電力が大き過ぎることです。車は、バッテリーで消費された電力を走行中に充電する仕組みを用いています。充電電力よりも消費電力が大きければ充電が行えず、バッテリーに十分な電気を蓄えられません。
次第にバッテリー電力が弱まり、バッテリー上がりを引き起こします。ヘッドライト消し忘れの他、ACC状態でスマートフォンの充電を続けるといった電気の使い方も、バッテリー上がりの原因のひとつです。
近年、駐車監視機能付きのドライブレコーダーも普及しています。OFF状態でも常時バッテリーの電力を消費しているため、バッテリー上がりのリスクを高めているといえるでしょう。
バッテリーが上がったときの対処法
バッテリー上がりの対処法は、ブースターケーブルをつなぐことと、車用の充電器を使用することです。
ハイブリッド車はブースターケーブルを使って他車のバッテリーとつなぐことで、一時的に他車のバッテリー電力を使えます。この際、お互いの自動車のバッテリーが同じ電圧のバッテリーであることが重要です。
また、ジャンプスターターと呼ばれる車用のバッテリー充電器で対処する方法もあります。ジャンプスターターは、ブースターケーブルと同様にケーブルをつなぐことで使用可能です。
ハイブリッド車のバッテリーの調子が悪いときの見分け方
ハイブリッド車のバッテリーも故障が起こるリスクがあるだけでなく、いつかは寿命を迎えます。予期せぬトラブルに見舞われないためには、バッテリーコンディションを見極め、状況に応じた交換が必要です。
ハイブリッド車は、ガソリン車に比べ運転時や始動時の音が静かな印象があることから、バッテリーが故障したことに気付けるかどうか不安な方もいるのではないでしょうか。ここでは、ハイブリッド車のバッテリーが故障した際に出るサインを紹介します。
警告灯が点灯する
駆動用バッテリーの交換目安を判断するひとつとして、メーターパネル内のハイブリッド警告灯があります。
ハイブリッド警告灯は、ハイブリッドシステムに何らかの異常が起きた際に点灯するものです。ハイブリッドシステムは駆動用バッテリーの他、パワーコントロールユニットやモーター、コンバーターなどさまざまな部品で構成されています。
駆動用バッテリー以外のトラブルも考えられますが、点灯した状態で車検も通過できません。警告灯が点灯したら速やかに点検を受けることが大切です。
症状では劣化に気付きにくい傾向がある
ガソリン車はバッテリーの寿命が近づくと、スターターの回転にパワーが感じられず、エンジンがかかりにくいといった症状が現れます。
バッテリーの劣化が分かりやすいガソリン車に対し、ハイブリッド車に搭載される補機用バッテリーはハイブリッドシステム起動をメインとしているため、劣化になかなか気付けません。
補機用バッテリーの劣化が進んでいることに気が付かず放置すると、ハイブリッドシステムを起動できないばかりか、スマートエントリーシステムが使えずドアの開閉に困る可能性があります。このような理由から、適切な点検が必要です。
ハイブリッド車のバッテリーの寿命はどのくらい?
バッテリーのコンディションを気にかけていても、突然寿命を迎えることも考えられます。突然バッテリートラブルが起こると、日常生活に支障を来す方もいるでしょう。ここでは、駆動用バッテリーと補機用バッテリーの寿命目安を紹介します。
駆動用バッテリーの交換時期の目安
駆動用バッテリーは、8年~10年、走行距離10万km程度が寿命の目安です。駆動用バッテリーの寿命や交換時期は、車種、年式、走行条件によって変化します。
同じ車種でも、年式が古かったり、充電・放電が繰り返し行われていたりと車ごとにバッテリーの劣化具合が異なる点に注意が必要です。
ハイブリッド車を所有している方で正確なバッテリーの寿命や交換時期が分からないという場合は、取扱説明書で確認するか、ディーラーや自動車整備工場で確認してもらいましょう。
補機用バッテリーの交換時期の目安
補機用バッテリーは、ガソリン車と同じく3年~5年が寿命や交換時期とされています。走行距離や走行条件などによって、バッテリーの劣化が進む場合があるため、定期的に点検を行いましょう。
バッテリーへの負荷が多く、寿命が早くなる傾向があるのは、1回当たりの走行距離が短い場合や走行回数が少ない場合です。
あまり車に乗らないほうがバッテリーの持ちが良いのではと思う方もいるでしょう。バッテリーは1回当たりの走行でしっかり使われたほうが寿命が長くなる特徴を持つことから、バランス良く乗ることをおすすめします。
ハイブリッド車のバッテリー交換にかかる費用や方法は?
駆動用バッテリーと補機用バッテリーは、同じ蓄電池の役割を果たすものの、種類や搭載位置が異なるため交換方法も異なります。
特に駆動用バッテリーは大きく、補機用バッテリーよりも高い交換費用が必要です。ここでは、駆動用バッテリーと補機用バッテリーの交換費用の目安を紹介します。
駆動用バッテリーの場合
駆動用バッテリーは、高電圧を扱うためディーラーや自動車整備工場で交換する必要があります。交換費用は車種・年式によって異なるのがポイントです。
車によっては、購入から一定の期間、走行距離以内であれば無料でバッテリー交換をしてくれる保証サービスが付いているものもあります。
車種や状態によって駆動用バッテリーの交換費用は変わるため、あくまで参考になりますが、10万円~40万円が交換費用の目安です。
補機用バッテリーの場合
ハイブリッド車に搭載されている補機用バッテリーの交換方法は、ガソリン車に搭載されているバッテリー交換と基本的には変わりません。
交換方法は、バッテリーを固定する金具と接続端子を外し、車からバッテリーを降ろします。新しいバッテリーを搭載して接続端子を接続し、金具を締めて固定するだけなので、自分で行うことも可能です。
自分で交換ができる場合は、交換用バッテリー代だけで工賃はかかりません。補機用バッテリー本体の相場は、インターネット通販で2万円~3万円、カー用品店や量販店での店頭価格はそれより少し高めに設定されています。
ディーラーや自動車整備工場などプロに依頼する場合の相場は、数千円~2万円です。また、古いバッテリーを回収してくれることもあるため、自分で行うよりプロにお願いしたほうが楽なケースもあります。
補機用バッテリーは一般的に同じでも代用はできない
補機用バッテリーはガソリン車と同じ鉛バッテリーで、交換方法も変わりません。同じ鉛バッテリーではあるものの、補機用バッテリーはVRLAと呼ばれる制御弁式のバッテリーでなければ搭載できない点に注意が必要です。
エンジンルームにバッテリーを設置するガソリン車とは異なり、ハイブリッド車の補機用バッテリーはトランクルーム内に設置されます。
バッテリーから発生するガスを車外へ排出できる構造が必要なことから、専用構造を用いたハイブリッド専用バッテリーを搭載しましょう。
ハイブリッド車のバッテリーを長持ちさせるコツ
ハイブリッド車は2個のバッテリーを持つため、バッテリーを1個搭載するガソリン車よりもメンテナンス費用がかかります。
ハイブリッド車に搭載されるバッテリーの寿命を少しでも長くするには、どのような対策を取ればよいのでしょうか。ここでは、バッテリーの寿命を延ばすポイントを2つ紹介します。
過充電や過放電に気を付ける
バッテリーにとってベストな状態は、過充電でも過放電でもない状態です。車の使用頻度が少ないとバッテリー電圧が下がり、放置するとサルフェーションを起こす恐れもあります。
サルフェーションはバッテリー内の極板表面に硫酸鉛が結晶化することで、充電しようとしても元には戻らず、バッテリー本来の性能が発揮できません。
バッテリーの適度な状態を維持するには、1週間~2週間ごとに1時間程度走行することが大切です。走行が難しいのであれば、定期的な充電を行ってバッテリーを長持ちさせましょう。
暑さによる劣化を防ぐ
バッテリーは車の保管環境からも影響を受け、特に注意したいのが熱です。バッテリーは走行中でなくとも、熱によって劣化が進む特徴を持ちます。走行中であれば冷却も行われますが、ハイブリッドシステムを起動していなければ冷却も行われません。
ガレージ内で保管する場合、熱がこもらないようにすることが大切です。適度に換気してガレージ内の温度が暑くなり過ぎないようにするなど、対策を講じることでバッテリーを長持ちさせられます。
中古のハイブリッド車を買うならバッテリーの寿命も考慮しよう
「ハイブリッドバッテリーの劣化を考えると中古車は心配」という方もいるのではないでしょうか。
中古車は、2つのポイントを押さえた上で選ぶとバッテリー寿命の長い車を購入できます。ここでは、中古のハイブリッド車を購入する際のポイントをチェックしましょう。
保証期間を確認する
メーカーは、ハイブリッドバッテリーの保証期間を設けているのが一般的です。保証期間が残った中古車であれば、購入後にバッテリーの劣化が分かっても無料で保証修理を受けられます。
例えば、トヨタの保証期間(駆動用バッテリー)は新車登録から5年、もしくは10万kmのいずれか早いほうです。各メーカーのWebサイトを確認し、バッテリーの保証期間を確認した上で中古車を探しましょう。
保証期間を終えている場合は、バッテリーの交換費用や交換時期の目安を確認することが大切です。
車の状態を確認する
中古車は1台ごとに車両状態が異なります。中古車を探す際には、走行距離および使用年数をチェックしましょう。走行距離が短いほど良いわけではなく、使用年数と走行距離のバランスが良い車がおすすめです。
年式が古い車、放置期間の長い車にも注意します。このような車は、車の状態が良いように見えてもバッテリーの劣化が進んでいる傾向です。保証期間内であっても交換を依頼する手間などを考え、車の状態はしっかりと確認することをおすすめします。
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まとめ
ハイブリッド車には、走行に用いる駆動用バッテリーと、ハイブリッドシステム始動に用いる補機用バッテリーが搭載されています。交換時期の目安は、駆動用バッテリーが8年~10年、補機用バッテリーが3年~5年です。
この目安は使用環境や走行状況によって変わります。バッテリーの寿命を延ばしたいのであれば、放電状態で放置しない、ガレージなど高温になりやすい場所で長期保管しないなどの工夫が必要です。
中古車購入時も注意しましょう。放置されてバッテリーの劣化が進んだハイブリッド車が流通されていることもあるため、バッテリーの保証期間はしっかりとチェックすることが大切です。
▼ライタープロフィール
畠山達也
自動車Webライター
自動車免許のほか、一級自動車整備士、フォークリフト運転免許などを保有するライター。自動車メーカーや部品業界に携わった際の知識や経験を活かし、Webメディアを通して「車の楽しさ」を発信している。
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よくある質問
Q.ハイブリッド車のバッテリーは何年もつの?
A.ハイブリッド車のバッテリーは、主に駆動用と補機用の2種類に分けられます。駆動用バッテリーは通常、走行距離10万kmまたは5年~8年程度が寿命の目安です。 一方、補機バッテリーの寿命は3年~5年程度です。ガソリン車の場合は2年~3年が寿命の目安であるため、ハイブリッド車のほうが若干長持ちする傾向があります。
Q.ハイブリッド車のバッテリー交換の修繕費はいくらですか?
A.ハイブリッド車のバッテリーの修繕費は、種類によって大きく異なります。補機バッテリーの修理費は比較的低く、3万円~10万円程度です。一方、メインバッテリーの交換は高額な傾向があり、20万円~60万円ほどかかります。
Q.ハイブリッド車のバッテリーの価格はいくらくらいですか?
A.ハイブリッド車のバッテリーは、車種やシステムにより大きく異なります。新品の駆動用リチウムイオンバッテリーを使用する場合、15万円~40万円が費用の目安です。 予算を抑えたい場合は、リビルド品(再生部品)を使用すると良いでしょう。リビルト品の場合、10万円~15万円程度まで費用を抑えられる可能性があります。