軽トラの維持費を徹底解説!税金・保険・燃費など必要な費用の全体像は?
軽トラックは、農業や漁業をはじめ幅広い産業の現場で活躍する頼もしい相棒です。軽トラックに限らず、車を所有し維持するためには、さまざまな費用がかかります。では、軽トラックの維持費はどの程度かかるものなのでしょうか。
そこでこの記事では税金や保険料、燃費など、軽トラの維持にかかるコストについて解説します。普通車と比べてどのような違いがあるのかという点も確認しておきましょう。
※目次※
・軽トラの主な維持費は、税金、保険料、燃料費、車検費用、駐車場代、高速道路料金、メンテナンス費用、消耗品代など。
・普通乗用車と比べて、軽トラは税金面におけるメリットが大きい。
・軽トラは普通乗用車と比べて自賠責保険料も若干安く、燃費も良好という傾向にある。
軽トラックの特徴と維持費の種類
まずは、軽トラックの特徴と維持費について詳しく見ていきましょう。軽トラは、法定規格で定められたサイズと排気量が軽自動車区分に該当し、高い積載能力と機動性が魅力です。
維持費には、税金、保険料、燃料費、車検費用などさまざまなものがあります。具体的な数字とともに、軽トラについて詳細を確認しましょう。
軽トラックの定義と特徴
軽トラとは軽自動車のトラックのことを指し、コンパクトな車体と高い実用性を兼ね備えた車両です。道路運送車両法で、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下、総排気量660cc以下、車輪数3以上と定められています。最大積載量は350kgです。
この積載能力と小回りの良さから、一次産業や建設・土木の現場、小規模事業者の貨物車としてなど重宝されています。軽トラの特徴は、低維持費と高い機動性です。税金や燃料費が抑えられ、狭い道路でも運転しやすいのが魅力でしょう。
項目 |
詳細 |
ボディサイズ |
全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下 |
エンジン |
総排気量660cc以下 |
車輪数 |
3以上 |
最大積載量 |
350kg |
軽トラの維持費には何がある?
軽トラの維持費にはさまざまな要素があります。主な項目として、税金、保険料、燃料費、車検費用、駐車場代、高速道路料金、メンテナンス費用、消耗品代などが挙げられます。
税金は、軽自動車税(種別割)と自動車重量税に分けられ、保険料は法律で加入が義務化されている自賠責保険と、加入するか否かをドライバー自身が決める任意保険の2種類です。
燃料費や駐車場代、高速道路料金などは、それぞれが置かれた環境や車の使用状況によって大きく異なる要素といえます。
軽トラの税金
軽トラの維持費を考える上で、税金は重要な要素です。軽トラにかかる税金として、軽自動車税(種別割)と自動車重量税が挙げられます。これらの税金の詳細について、普通車のケースと比較しながら、具体的な金額とともに確認しましょう。
軽自動車税(種別割)
軽トラにかかる軽自動車税(種別割)は、普通乗用車と比べてかなり安く設定されています。自家用の軽トラ(四輪以上貨物用)の場合、年間税額は5,000円です。
これは通常の軽自動車(自家用乗用車)の1万800円と比べると半分以下の金額になります。ただし、新規登録から13年が経過すると、税率が約20%上乗せされ6,000円になるので注意が必要です。
営業用の場合はさらに安く、年間3,800円(13年経過後は4,500円)と、軽トラは税金面におけるメリットが大きいといえるでしょう。なお、環境性能の優れた車両には、「グリーン化特例」による税率軽減措置もあります。
区分 |
標準税率 |
13年以降 |
軽トラック 貨物用(自家用) |
5,000円 |
6,000円 |
軽トラック 貨物用(営業用) |
3,800円 |
4,500円 |
軽自動車 乗用(自家用) |
1万800円 |
1万2,900円 |
軽自動車 乗用(営業用) |
6,900円 |
8,200円 |
自動車重量税
自動車重量税は、車両の重量に応じて課税される税金です。自家用の軽トラ(小型貨物自動車)の場合、新規検査から13年未満は年間3,300円、13年以上18年未満は年間4,100円、18年以上は年間4,400円となります。事業用であれば、さらに安い税額です。
自動車重量税は車検時に納付し、車検証の有効期間に応じた金額を支払います。普通乗用車と比較すると、軽トラの自動車重量税は大幅に安いといえるでしょう。
例えば、4ナンバーの自家用普通トラック(1t以下)の場合は年間3,300円ですが、自家用乗用車(0.5t超1t以下)は年間8,200円です。
軽トラは、エコカー減税の対象となる場合もあります。環境性能に優れた車両は、基準達成度合いに応じて25%から100%の税率軽減が適用される決まりです。ただしこの優遇措置は、新車購入時と1回目の継続検査時のみに適用されるので注意しましょう。
車種 |
新規登録から 13年未満 |
13年以降 |
18年以降 |
軽トラック(自家用) |
3,300円 |
4,100円 |
4,400円 |
軽トラック(事業用) |
2,600円 |
2,700円 |
2,800円 |
普通トラック(1t以下自家用) |
3,300円 |
4,100円 |
4,400円 |
普通トラック(1t以下事業用) |
2,600円 |
2,700円 |
2,800円 |
自家用乗用車(0.5t超1t以下) |
8,200円 |
1万1,400円 |
1万2,600円 |
軽トラの保険料
軽トラの維持費においては、保険料も重要な要素です。軽トラの保険には、加入が義務付けられている自賠責保険と、より広範囲な補償を提供する任意保険があります。
軽トラに関する自賠責保険と任意保険について、その特徴や費用、選び方のポイントなどを確認しましょう。
自賠責保険
自賠責保険は車両所有者に加入が義務付けられている保険であり、軽トラの場合も同様に加入しなければなりません。
2025年度の軽自動車の自賠責保険料は、24か月契約で17,540円です。これは普通乗用車よりもわずかに安価です。自賠責保険は交通事故での対人賠償を補償する最低限の保険であり、車検時にも書類が必要になります。
車種 |
25か月契約 |
24か月契約 |
13か月契約 |
12か月契約 |
軽自動車 |
1万8,040円 |
1万7,540円 |
1万1,950円 |
1万1,440円 |
自家用乗用車 |
1万8,160円 |
1万7,650円 |
1万2,010円 |
1万1,500円 |
任意保険
任意保険は、自賠責保険では補償されない範囲をカバーする保険です。自賠責保険だけでは補償が十分ではないため、自動車所有者の多くは任意保険にも加入します。主な補償内容は、対人・対物賠償、人身傷害、車両保険などです。
任意保険の保険料は車両の型式や年式、運転者の年齢や等級、契約内容によって大きく変動します。そのため軽トラだからといって安いとは限りません。維持費を抑えたい場合は、複数の保険会社や代理店を比較し、自分に最適な保険プランを選ぶことが重要です。
軽トラの燃費
軽トラの維持費を考える上で、燃費も重要な要素です。車種によって異なる燃費性能や、実際の使用状況での燃料消費量を把握することで、より正確な維持費の試算が可能になります。主要な軽トラの燃費データに基づいて、具体的な年間燃料費を確認しましょう。
軽トラ車種別の燃費
軽トラックの燃費は、メーカーや車種によって異なります。軽トラの代表車種である、ダイハツ ハイゼットトラックとスズキ キャリイの、現行モデルのWLTCモード燃費を比較してみましょう。
ダイハツ ハイゼットトラックの燃費は、2WDのMT車で19.0km/L、AT車で21.0km/L、4WDではMT車が18.2km/L~18.5km/L、AT車は20.2km/L~20.9km/Lです。
スズキのキャリイの燃費は、2WD・4WDともにMT車が18.7km/L、AT車は15.7km/Lという数値を示しています。
その他のメーカーの軽トラはこの2車種のOEM車であるため、軽トラ全体の平均的な燃費は15km/L~20km/L程度と考えられるでしょう。
車種名 |
2WD・MT |
2WD・AT |
4WD・MT |
4WD・AT |
ダイハツ ハイゼットトラック |
19.0km/L |
21.0km/L |
18.2km/L~18.5km/L |
20.2km/L~20.9km/L |
スズキ キャリイ |
18.7km/L |
15.7km/L |
18.7km/L |
15.7km/L |
(参考:『ハイゼットトラック(ダイハツ)の中古車一覧|中古車の【ネクステージ】』)
(参考:『キャリイトラック(スズキ)の中古車一覧|中古車の【ネクステージ】』)
軽トラの年間燃料費を試算
ダイハツ ハイゼットトラックを例に挙げ、軽トラの年間燃料費を具体的に試算してみましょう。軽トラの平均的な燃費を算出するため、4WD・MT車18.5km/Lという数値を使用します。年間走行距離を1万kmと仮定すると、年間のガソリン消費量は約541Lです。
ガソリン価格180円/Lで計算すると、年間にかかる燃料費は約9万7,380円と算出できます。月にならせば約8,115円という金額です。ただし、積載量や走行環境などの使用状況、運転方法、メンテナンスの状態によって燃費は大きく変動する点には注意しましょう。
軽トラのその他の維持費
税金や保険料、燃費以外の軽トラの維持費についても確認していきましょう。例えば車検費用、高速料金、駐車場代は無視できません。各項目の特徴や節約のポイントを把握することで、軽トラの維持費をより効率的に管理できるでしょう。
車検費用
軽トラの車検は、新車購入後2年目から2年ごとに必要です。車検費用の相場は約8万円~10万円で、法定費用と点検整備費用に分かれます。法定費用には自動車重量税、自賠責保険料、印紙代が含まれ、点検整備費用は業者によって異なる項目です。
車検費用を抑えるには、日ごろのメンテナンスが重要といえます。エンジンオイルの定期交換や安全運転を心がけることで、部品交換費用を抑えられるでしょう。ユーザー車検を選択すれば、大幅に費用を抑えられますが、専門知識と時間が必要です。
業者を選ぶ際には、複数の業者の見積もりを比較することをおすすめします。車検専門店はディーラーより安価な場合が多いので、検討の価値があるでしょう。
高速料金
軽トラックの高速道路料金は、普通車より約2割安く設定されています。例えば普通車で1,000円の区間を軽トラで走ると、800円程度で済みます。
さらに、ETCカードを利用すると、深夜割引や休日割引などの恩恵も受けられるでしょう。ETCマイレージサービスに登録すれば、ポイント還元や平日朝夕割引の適用も可能です。
ただし、軽トラで高速道路を走行する際には注意が必要です。軽量な車体は横風の影響を受けやすく、特に荷台に高さのある荷物を積んでいる場合は注意しなければなりません。
駐車場代
駐車場代は、地域や立地によって大きく異なります。都市部では月額1万円~5万円程度、郊外では5,000円~2万円程度が相場といえるでしょう。戸建ての持ち家に住んでいる場合など、自宅に駐車スペースがあれば駐車場代はかかりません。
軽トラは普通車より車体が小さいため、専用の駐車スペースがあれば料金が安くなる場合もあります。
ただし、一部の駐車場では軽トラを含むトラックの駐車が禁止されているケースがあるため、注意が必要です。駐車場を探す際は、事前に利用可能かどうか確認しましょう。
まとめ
軽トラックの維持費として、税金、保険料、燃費に加え、車検費用や高速料金などさまざまな項目が挙げられます。普通自動車と比較すると、軽トラは税金や保険料が安く、燃費も良好という傾向です。
ただし、使用頻度や走行距離によって、実際の維持費は変動します。荷台の大きさや利用シーンに応じた特性も考慮し、自分の用途に合わせて選択することが大切です。地域や車種による違いも念頭に置き、総合的に判断しましょう。
▼ライタープロフィール
五十嵐巧
大手出版社での書籍編集を皮切りに、25年以上にわたり書籍・雑誌・Webメディアの編集・ライティングに携わる。現在はフリーランス編集者・ライターとして活動し、複数の自動車メディアでもコンテンツの編集・執筆に取り組む。豊富な取材経験と専門知識を活かし、読者に信頼される情報を提供し続けている。
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