自己破産してオートローンに通ったケースは?審査の傾向や注意点を紹介
自己破産をして車が手元にない方や、新たに仕事などでライフスタイルが変わり、車が必要になる方もいるのではないでしょうか。自己破産後にオートローンの審査に通ったケースがあるのか、気になるところです。
この記事では、自己破産から一定期間が経過するまでは、オートローンの審査を通過するのが難しい理由について解説します。また、信用情報の確認方法や、審査を受けるときのポイントにも触れるので、ぜひ参考にしてみてください。
※目次※
4.オートローンで購入した車を所持中に自己破産した場合はどうなるの?
7.オートローンの審査に通らない場合は?車を購入する他の方法
・自己破産の記録が信用情報機関に登録されている場合、基本的にはオートローンの審査に通らない。
・自分の信用情報が不安な方は、CIC、JICC、KSCへ開示請求をしよう。自身の状況を客観的に把握し、今後の審査に備えよう。
・任意整理や個人再生など、自己破産以外の債務整理を行った場合も、記録が残っている間はオートローンを組むのが難しい。
自己破産後でもオートローン審査に通ったケースはある?
自己破産後に車が必要となり、オートローンの利用を検討している方もいるでしょう。オートローンを利用するためには、審査に通らなければなりません。ここでは、自己破産による信用情報の記録と、ローン審査の関係性について解説します。
ローン審査に通りにくい
ローン審査を行う場合は、信販会社や金融機関で信用情報を確認します。自己破産を行うと信用情報の記録に一定期間保存されており、審査ではその情報が参照されるのです。
そのため、破産情報が記録されている間は、ローン審査に通ることは期待できません。そのためオートローン以外で車の購入を検討する必要が出てきます。なお、自己破産をすると「永久的にローンを組めなくなる」というわけではありません。
信用情報が記録される機関は3つある
信用情報が記録されている機関は3つあり、これらには自己破産や延滞情報といった返済状況の記録が保管されていることをご存知でしょうか。
その機関はCIC(指定信用情報機関)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)と呼ばれ、それぞれ登録されている加盟会社や金融機関が異なります。
オートローンの審査を受ける場合もこの機関から照会が必要です。自己破産情報が記録される年数は各機関によって異なり、自身でも開示請求を行えます。
自己破産の記録は消える?オートローンの信用情報の確認先
以前にクレジットやローンの返済を延滞、自己破産などの債務整理をした場合、自身の信用情報がどのようになっているのか気になるところでしょう。ここでは、CIC・JICC・KSCの3つの個人信用情報機関の概要と、開示請求について解説します。
CICでの信用情報の取り扱い
CICは貸金業法の規制に基づく貸金業者や、割賦販売法の規定に基づく包括信用購入あっせん業者などが登録をしています。信販会社、クレジット会社、一部の消費者金融が主に加盟しており、その他にも百貨店や小売店、携帯電話事業者などが会員です。
3つの機関の中で保有する信用情報が最も多いといわれており、CICの場合自己破産の登録は5年間とされ、この期間を経過すると情報から削除されます。
なお、CICでの開示方法はインターネット、郵送で行うことができ、利用手数料はインターネットが500円(税込み)、郵送では1,500円(税込み)が必要です。
(2024年8月時点の情報です)
JICCでの信用情報の取り扱い
JICCは貸金業法の規定に基づく業者が登録をしています。主に消費者金融、クレジットカード会社が加盟しており、その他にメーカー系カード会社や金融機関、保証会社などが会員です。
JICCの場合は自己破産の手続き開始、もしくは免責決定の日から5年を経過した時点で情報が削除されるため、CICと同様の取り扱いとなります。
JICCでの開示方法はスマートフォン、郵送、窓口で行うことができ、利用手数料1,000円~1,300円(税込み)が必要です。状況に応じて窓口での対応を休止していることも考えられるため、申し込み前に確認することをおすすめします。
(2024年8月時点の情報です)
KSCでの信用情報の取り扱い
KSCは国内で活動する銀行や銀行持株会社や銀行協会が加盟しており、主にメガバンクや地方銀行、信用金庫、JAなど銀行関連の企業が会員です。
KSCの場合は自己破産の手続き開始、もしくは免責決定の日から最長10年を経過した時点で情報が削除され、CIC、JICCより長く設定されています。KSCでの開示方法はインターネットや郵送での申し込みとなり、利用手数料は1,000円~1,800円(税込み)です。(2024年8月時点の情報です)
自己破産後にオートローンの審査を受けるポイント
信用情報に自己破産の記録がある場合は、オートローンの審査に通ることはないでしょう。ただし、記録は永久に残るわけではありません。ここでは、自己破産の記録がなくなった後、ローンの審査に通るためのポイントを5つ解説します。
頭金はできるだけ多く用意する
ローン審査では信用情報の他、返済能力が備わっているかについても確認されます。自己破産をした場合でも記録がなくなるまでに収入を得て貯蓄し、頭金をできるだけ多く用意することも方法のひとつです。
もし多くの頭金を用意できたとなると、借入額を減らせる他、計画的に貯蓄を行えるということへのアピールにもなります。そのため頭金を用意せずにローン審査を受けるよりも、ある程度資金の準備が整ってから審査を受けてみてはいかがでしょうか。
良い結果の信用情報を作る
自己破産の信用情報がリセットされた後に、クレジットの履歴がない場合「返済能力がない」という評価となり信用を得られないことが考えられます。
結果カーローンの審査を受けたとしても不利に働いてしまうことが考えられるため、クレジットカードなどで返済記録を積んでおくことも大切です。
なお、クレジットカードは自己破産後5年以上経たなければ作ることはできないため、その点も留意しておきましょう。
オートローン以外にローンを組まない
「オートローンが組めないのであれば、他のローン審査を受けてみよう」と考える方もいるかもしれません。しかし、ローン審査の複数申し込みは自身の信用情報をなくす行為であるため控えることをおすすめします。
万が一、他のローン審査を受けて落ちた場合は、履歴に「ローン審査に落ちた」ことも残ります。この情報も審査対象となるため、さらにローンを組むことが難しくなるでしょう。
つまり「落ちたから次のローンへ申し込む」ということはせずに、必要のない審査は受けないほうが得策だといえます。また、他にローンを組んでいたとしても事前に返済するなどして金額を増やさないようにすることが大切です。
価格の安い車種にする
オートローンを利用する場合、返済能力があるかどうかが重要となってきます。借り入れる額が大きいほど返済におけるハードルが上がるため、購入にかかる費用を抑えることが大切です。
新車ではなく中古車から車両を選んだり、オプション装備を省いたりするなどして、借入額を低くすると審査に通りやすくなるでしょう。
保証人を立てて申し込む
オートローンでは、安定した収入を得ているのかどうかもチェックされるため、雇用形態や勤続年数なども審査で重要となる要素です。アルバイトやパートなど非正規雇用の場合、正規雇用と比べると信用度が低いといえます。
このような場合、ローンの申込者が返済不能となったときに返済義務を負う連帯保証人を立てることで、審査に通る可能性が高くなります。連帯保証人は、親などの親族に依頼するのが一般的なので、相談してみるとよいでしょう。
オートローンで購入した車を所持中に自己破産した場合はどうなるの?
オートローンを組む前に自己破産すると審査に通らないことが予想されますが、すでにオートローンを利用して車を所持している中で自己破産をした場合、どのような対応が必要となるのでしょうか。
車の名義が自分、もしくは他人かによって対応が変わるため、大まかな流れについて参考にしてみてください。
車の名義が自分にある場合
自動車ローンが残っている場合、ローン会社との契約上の問題によりローンを完済するまでの車の所有権は一部例外を除いて引き揚げられることが一般的です。
しかし、親族から金銭面の援助を受けるなど、資金を得てローン残高の全額を支払うことで引き揚げを回避できる場合もあります。いずれにせよ、車の名義が自分にありローンが残っている状態で自己破産を行う場合は、手元に残らないと考えておいたほうがよいでしょう。
車の名義が他人の場合
車の名義が他人名義の場合、処分されることはありません。自己破産において処分を受けるのは本人名義の財産のみです。たとえ親や子どもなどの親族の財産である車に関して差し押さえられることはなく、この行為は法律でも禁止されています。
ただし、利己的に自己破産前に自分名義から他人名義に変えて使用する行為は控えましょう。他人へ名義貸しをして車のローンを組むこと自体、法律違反で罰せられる可能性があります。
(参考:『第47条関係 差押えの要件|国税庁』)
自己破産申請中はオートローンの審査に通る?
自己破産を申請している場合でも、日常生活での必要性があれば購入を認められるケースもあります。ただし、オートローンを利用して車を購入することは、基本的にできません。
自己破産申請中は、高額な買い物が制限されることから、安易にローンを組むことは避けましょう。どうしても車が必要な場合は、専門家に相談することをおすすめします。
自己破産後のオートローン審査を受けるときの注意点
自己破産の記録が残っていると、ローンの審査に通るのは困難です。従って、オートローンの審査を受ける前に、まずは自分自身の信用情報を確認しましょう。ここでは、オートローンに申し込む前に押さえておきたいポイントを解説します。
信用情報は事前に確認する
CIC、JICC、KSCの信用情報機関では事前に開示請求ができるため、不安な方はあらかじめ確認しておきましょう。年数が経つと信用情報の内容が変わり、オートローン審査を前向きに検討できる可能性があります。
CIC、JICC、KSCの開示請求はインターネットやスマートフォン、郵送などの方法から行えます。
車体購入価格はできるだけ抑える
オートローン審査は金額が高いとそれだけハードルが上がります。そのためローンを組む際の車両価格はできる限り抑えるなどの工夫をしましょう。新車より中古車のほうが価格帯は安いため、ローンを組まなくとも購入できる車両が見つかるかもしれません。
はじめからローン審査に不安を感じるようであれば、ローンを組まなくとも購入できる車を選択肢のひとつとして検討してみましょう。
オートローンの審査に通らない場合は?車を購入する他の方法
自己破産を理由にオートローンを利用できない場合を、別の方法を検討するとよいでしょう。自社ローンや家族名義で乗る方法など、いくつか選択肢があります。ここでは、3つの方法について解説するので、参考にしてみてください。
自社ローンでの購入
自社ローンとは、自動車販売店が独自に提供しているローンのことです。銀行などの金融機関におけるマイカーローンや、主にディーラーが扱っている信販会社のカーローンとは形態が異なっています。
自社ローンでも審査はありますが、CICやJICCなどの信用情報機関で信用情報を確認することはほとんどありません。そのため、審査基準が緩く、借りやすいローンといえます。ただし、手数料の高さゆえに支払総額が多くなるなどのデメリットに注意が必要です。
家族名義での購入
自己破産によりローンが組めない場合は、家族名義で購入して乗る方法があります。家族の方に所有者になってもらい、自分自身は使用者として車に乗ることが可能です。
ただし、車検証の使用者欄が家族の方になるような購入方法の場合、名義貸しとなってしまう点に注意しましょう。家族間の金銭トラブルにもつながりかねません。
現金一括での購入
オートローンが利用できず、家族に頼れない場合でも、現金一括払いであれば車を所有できるでしょう。現金が用意できないためオートローンの利用を検討している方がほとんどだと考えられますが、現金一括払いであれば審査がありません。
中古車であれば、車両によって非常に低い価格で販売されていることもあるので、予算の範囲内で探してみることをおすすめします。
自己破産を控えているならやってはいけないNG行為
自己破産の手続きをする前に、使用している車のローンを一括返済したり、名義を変更したりするのは避けることが大切です。
自己破産することが認められないケースにもつながるので注意しましょう。ここでは、自己破産する際の、車に関して押さえておきたいポイントを解説します。
車のローンの一括返済
自己破産をするケースでは、車のローン以外にも負債を抱えていることがほとんどでしょう。その際、特定の債権者だけに返済することは、詐欺行為にあたる可能性があります。自己破産が認められないことにつながるかもしれません。
そのため、自己破産となりそうな場合は、現金や車などの財産の取り扱いに関して慎重になる必要があります。
車の名義変更
自己破産前に、車の名義を家族などの他者に移して、車両を残しておきたいと考えるケースもあるでしょう。これは財産隠しと判断されることにつながるので、自己破産前の名義変更は避けるべき行為といえます。
債務者側からすると不利益になってしまいます。車には金銭的な価値があり、罪に問われないためにも慎重に扱うことが大切です。
車の処分
自己破産をする際は、車などの財産が金銭に換えられ、各債務者の返済に当てられます。そのため、車を勝手に処分することも避けたほうが良い行為です。適正な手続きのもと、処分される必要があるので、売却もしないよう注意しましょう。
以上のことから、自己破産する際は、専門家の指導のもと適切な行動を取ることが重要といえます。
他の債務整理は車の所持やローンへの影響はある?
自己破産以外にも債務整理の方法があります。任意整理や個人再生、特定調停などです。これらの債務整理を行う場合、所有している車やローンの審査への影響があるのか気になる方もいるでしょう。ここでは、3つの債務整理において、車に関わるポイントを解説します。
任意整理の場合
任意整理とは、債務者と支払い方法の変更について話し合い、返済の負担を軽減する債務整理です。利息のカットや分割回数について相談します。
借金を完済しやすくなりますが、金融事故となるため信用情報機関に記録が残る点は自己破産と同様です。新たにローンを組むのが難しくなります。
所有車がディーラーや信販会社となっている車のローンについて任意整理すると、車が引き上げられてしまうでしょう。車を残したい場合は、他の債務を任意整理して、返済の負担を軽くすることが重要なポイントです。
個人再生の場合
個人再生は任意整理と違い、裁判所を通して借金の減額を目指す債務整理です。債務の金額が大きい場合に個人再生を行う傾向があります。また、自己破産よりも財産を残しやすい点も特徴のひとつです。
ローンを払い終えた車を手放す必要がなく、返済中でも本人名義で車を購入できるマイカーローンであれば、自車を残して置けるでしょう。
ただし、信販会社やディーラーが所有車となるローンを組んでおり、返済が終わってないのであれば引き上げの対象になる可能性があります。個人再生した場合も、信用情報に記録される点は自己破産と同様です。
特定調停の場合
特定調停は、任意整理と類似した債務整理の方法です。任意整理と異なるのは弁護士ではなく裁判所が仲介役となる点で、債務整理にかかる費用を低く抑えられる点も特徴といえます。
特定調停は任意整理と同じく、車のローンを債務整理の対象外とすることで、手元に残しておけます。ただし、特定調停をすると事故情報として信用情報機関に登録されるのは、他の債務整理と変わりません。一定期間ローンを契約するのは難しくなるでしょう。
まとめ
自己破産を行うと、信用情報機関にそのことが登録されます。オートローンの審査では、信用情報機関に照会して自己破産などの事故情報がチェックされるため、記録が消されるまではローンを組むことが難しいでしょう。
ただし、事故情報は永久に残るわけではありません。またオートローンの審査に通らない場合でも、信用情報機関に照会しないタイプの自社ローンや現金一括払いなどであれば車を手に入れられる可能性があるため、他の方法を検討してみましょう。
▼ライタープロフィール
小波津健吾
高山自動車短期大学を卒業とともに国家2級整備士資格を取得。その後、整備士として実務経験を積み重ね自動車検査員資格を取り、民間工場で検査員として従事した経歴を持つ。現在はメカニックや検査員の知識と経験を活かし、主に車系のメディアで執筆している。
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よくある質問
Q. 自己破産から何年で信用情報は消えますか?
A. 5年~10年です。金融事故の情報は信用機関によって登録期間が異なります。株式会社日本信用情報機構(JICC)と株式会社シー・アイ・シー(CIC)は5年間。全国銀行個人信用情報センター(KSC)は最長10年間です。
Q. 自己破産したら車のローンは組めますか?
A. 自己破産することで借金は免責されますが、しっかりと金融事故があったことが信用機関に記録されます。自己破産すれば白紙になるのではなく、5年~10年の間は支払い能力が低いと評価され、ローンやクレジットカードの審査に通らなくなるでしょう。
Q. 自己破産するとローン中の車はどうなりますか?
A. 自己破産する場合、滞っている支払いを所有資産で補い、足りない分は免責となります。そのため、ローン中の車は残債の支払いに充てられるため、ローン会社に回収されてしまうのが一般的です。