車のフロント部位の名称を解説!曇り・凍結・傷の原因と対策も紹介
車はさまざまな部品を組み合わせて作られていますが、車の顔ともいえるフロント部分も同様です。フロントガラスやワイパーなど、代表的な部位の名称は知っていても、全ての部位までは分からないという方は多いのではないでしょうか。
この記事では、車のフロント部位の名称と役割、フロントガラスの凍結や曇りの原因と対策を解説します。フロント部位の名称を知ることのメリットも紹介しますので、いざという時の助けになるでしょう。
※目次※
・車のフロントには、ヘッドライトやボンネットなど親しみのあるパーツに加え、ピラーやフェンダーなど聞き慣れないパーツがある。
・フロントガラスの曇りは結露が原因。デフロスターやデフォッガーを上手に使おう。
・フロントガラスの傷やヒビは走行に支障をきたす場合があるため、車間距離を取るなどの対策を練ろう。
車のフロント部位の名称
車のフロントと聞いてすぐに思い浮かぶのは、フロントの大部分を占める「フロントガラス」ではないでしょうか。フロント部分をよく見ると、運転に欠かせない部品、車を構成する上で欠かせない部品もあります。まずは、フロント部分全体の名称と役割を見てみましょう。
ルーフ
ルーフは、車の屋根に当たる部分です。多くの場合「鋼板(鉄板)」が素材として用いられますが、軽量化を目的にアルミやカーボン、プラスチックが用いられることもあります。
ルーフの役割は、主に日光や雨、雪などから乗員を守ることです。また、ガラスルーフやサンルーフのように快適性を上げる役割もあります。
ピラー
ピラーは英語で「柱」といい、ガラスとガラスの間にある柱のことを指します。ルーフとボディをつなぐことに加え、衝突や横転による衝撃から乗員を守る重要なパーツです。
ピラーは配置される場所ごとに名前があり、前から順に「Aピラー(フロントピラー)」「Bピラー(センターピラー)」「Cピラー」と呼びます。
一般的な車のピラーは3本~4本ですが、近年はBピラーのない「センターピラーレスドア」を採用する車種も出てきました。また、ミニバンやステーションワゴンはDピラーまで、大型バスになるとJピラーまで増えることもあります。
フェンダー
フェンダーはタイヤを覆う外板を指し、前輪のフェンダーを「フロントフェンダー」、後輪のフェンダーを「リアフェンダー」といいます。
フェンダーの役割は、タイヤによって巻き上げられた水・泥・小石の飛び散りを防ぎ、車そのものに加え後続車や歩行者を守ることです。
また、フェンダーにはスポーツモデルで見られる「ブリスターフェンダー」と、後付けする「オーバーフェンダー」があります。
サイドシル
サイドシルは、ドアシルとも呼ばれるサイドドアの下にある細長いパーツを指します。「シル」は日本語で「敷居」という意味のため、サイドシルはまさに車の敷居です。
サイドシルは、位置が高くなるほど車の剛性が増します。そのためスポーツカーはサイドシルを高めに設計していますが、高くなる分乗降性は良くありません。
フロントガラス
フロントガラスは、車の前方にある大きなガラスです。フロントウインドーとも呼ばれ、視界の確保、飛来物や事故の被害軽減などドライバーと同乗者の快適性と安全性を保つ役割があります。
フロントガラスに使われているのは、道路運送車両の保安基準で定められた強度を満たす「合わせガラス」です。合わせガラスは3層構造になっており、割れた場合に飛び散らず、簡単には貫通しません。前方の視界をしっかりと確保します。
ワイパー
ワイパーは、フロントおよびリアガラスに付いた雨や雪を取り除くパーツです。リアに装着したワイパーは「リアワイパー」と呼びます。
ワイパーは「アーム」「ブレード」「ゴム」の3つで構成されており、アームはワイパーの柄となる部分、ブレードはゴムを支える部分、ゴムは雨などを取り除く部分です。
広く使われるノーマルワイパー、シリコーンゴムが使われている撥水ワイパー、霜や凍結に強い雪用ワイパーがあります。
ドアミラー
ドアミラーは、フロントドアの外側に取り付けられたミラーです。サイドミラーと呼ばれることもありますが、サイドミラーは旧車に多いフェンダーミラーも含みます。
ドアミラーを使うのは、車線変更や追い越し、車庫入れなどの後方確認時です。近年は、後方車両の接近を知らせるインジケーターの付いたドアミラーや、ミラーの代わりにカメラが付いたドアミラーレス車もあります。
ヘッドライト
ヘッドライトは前照灯ともいい、前方の左右にある大きなライトです。夜間やトンネルの走行時だけでなく、雨天時など周囲が見えにくいと感じた際に点灯させます。夜道を照らすだけでなく、対向車へ自身の存在を知らせることも役割のひとつです。
ヘッドライトは「ハロゲンライト」「HIDライト(ディスチャージライト)」「LEDライト」の3種類があり、それぞれ色味や特徴が異なります。しかし、どの種類であっても状況に応じて「ハイビーム」と「ロービーム」の切り替えは必要です。また、夜間時の無灯火走行は道路交通法違反となるため注意しましょう。
ボンネット
ボンネットは、エンジンルームを覆うパーツです。雨などからエンジンを守るだけでなく、歩行者と衝突した際に歩行者への衝撃を緩和させる役割もあります。
多くの車は車の前方にエンジンがあるため、ボンネットの位置は前方です。しかし、車の後方にエンジンがあるRR車(リアエンジン・リアドライブ)の場合は、ボンネットではなく「エンジンフード」と呼ぶこともあります。
フロントグリル
フロントグリルは、車の正面下部にある網目または格子状のパーツです。元々の役割は「ラジエーター」と呼ばれる熱交換器に風を当ててエンジンを効率良く冷やすことでしたが、現在はデザインによる他の役割もあります。
ひとつは、BMWのキドニーグリル、レクサスのスピンドルグリルのようにブランドを印象付ける役割です。また、空気抵抗を抑え燃費向上にも貢献しています。
フロントバンパー
フロントバンパーは、フロントグリルの下にあるパーツです。衝突による衝撃から車や乗車する人を守る、衝突された人への衝撃を和らげる役割があります。
フロントバンパーは大きく「金属製」「樹脂製」「PP(ポリプロピレン)製」に分けられますが、現在は衝撃緩和の観点からPP製が主流です。また、フロントグリル同様デザインによる燃費向上も期待されています。
車のフロント部位の名称を知っておくメリット
フロント部分全ての名称を知らなくても、車を走らせること自体は可能です。しかし、名称が分かっていると車を所有する上で何かと役に立ちます。
まずは、異常が起きた場合や修理が必要になったときです。ヘッドライトがつかなくなった場合に「ライトがつかない」と伝えても、修理店は即座にヘッドライトと判断できません。
次に、カスタマイズをするときです。業者へ依頼する際に、名称が分かっていないとどの部分をカスタマイズしたいのかを正確に伝えられません。自分で部品を注文する際も、異なる部品を注文してしまうこともあります。
フロント部分を含め車のパーツは日常的に口にする、意識することは多くありませんが、いざという時のために覚えておきましょう。
車のフロントガラスが凍る原因と対策
雪が降る地域を中心に、気温の下がる冬場に起こるのが「フロントガラスの凍結」です。凍った状態では運転ができないため、駐車場に出て焦った経験がある方もいるでしょう。ここでは、フロントガラスが凍る原因と、凍結した場合の対処法、凍結の防ぎ方を紹介します。
凍結する温度と条件
フロントガラスの凍結の正体は「霜」です。霜は冷やされた物体と水蒸気が触れたときに発生します。
霜が生じる条件は気温が5度以下、物体の表面が0度以下です。フロントガラスの温度の判断は難しいため、早朝の気温が5度を下回る日は凍結が起こる可能性があると覚えておきましょう。
フロントガラスに降りた霜は、放射冷却により凍結します。放射冷却とは、日中に温められた地面の熱が夜間に宇宙へ放出されるとともに気温が低下する現象です。
日中と夜間の気温差が重要なため、前日が曇りの日は凍結しづらく、快晴の日は凍結する確率が上がります。同じ気温の日でも凍結の有無が異なるのはこのためです。また水蒸気が多い日、つまり湿度の高い日も凍結の確率は上がります。
内側フロントガラスが凍る原因は?
フロントガラスは、外側だけでなく内側も凍結します。「大気中の水分と遮断された車内でなぜ凍結するのか」と疑問に思うかもしれませんが、原因は靴や衣服に付着した水分から生じる車内の湿気です。雨の日や雪の日は、どうしても車内に入ってしまうため湿気が上がります。
車内のちりや埃も原因のひとつです。これらが湿気を吸い込みガラスに付着するため、凍結につながってしまいます。
凍結を防止する方法
ホームセンターや通販サイトなどでは、フロントガラスの凍結を防ぐアイテムが売られています。それらを使って未然に防ぎましょう。
・凍結防止シート
凍結防止シートは、フロントガラスを覆うようにかぶせるシート状のカバーです。タイヤやサイドミラーに引っかけて使うタイプと、フロントドアに挟むタイプがあります。新聞紙や毛布でも代用可能です。
・アルミシート
アルミシートは断熱材のひとつで、保温シートとも呼ばれます。ホームセンターの他、100円ショップでも購入可能です。フロントガラスのサイズにカットし、ガラスを覆ってからワイパーなどで抑えておきましょう。
・撥水スプレー
撥水スプレーをフロントガラスに吹き付けておくと、凍結の原因となる水滴の付着を防げます。撥水スプレーには「シリコーン系」と「フッ素系」があり、値段も安く手軽に施工できるのは「シリコーン系」です。
・内側フロントガラスは気温差と湿度を下げる
フロントガラスの内側が凍結する原因は、外気温と内気温の温度差です。ドアを開けて、車内の温度をできるだけ外の気温と合わせるようにしましょう。また、雪を払ってから車に乗ると車内の湿度を抑えられます。湿気を吸い込む埃なども取り除いておくと、さらに効果的です。
凍結したらどうする?
フロントガラスが凍結してしまった場合、熱湯をかけたりワイパーで削ぎ落としたりするのは好ましくありません。凍結解消用のアイテムを使って、安全かつ効率的に対処しましょう。
・氷解スプレー
氷解スプレーは、フロントガラスに吹きかけて氷を溶かすアイテムです。ガス噴射タイプや霧吹きタイプがあり、凍結具合やコーティングの有無などで使い分けます。氷解スプレーがない場合は、エタノールと水を2:1の割合で混ぜて代用も可能です。
・解氷ウォッシャー液
解氷ウォッシャー液は、氷点下でも凍らないウインドーウォッシャー液です。通常のウォッシャー液同様、ウォッシャータンクに入れて使用します。タイプの異なるウォッシャー液を混ぜて使用することはできないため、タンクを空にしてから使用しましょう。
難しい場合は、スプレーボトルに解氷ウォッシャー液を入れてスプレーする方法もあります。
・リモコンエンジンスターターを使う
リモコンエンジンスターター搭載車の場合は、事前にエンジンをかけてフロントガラスに凍結を溶かす方法もあります。走行前に暖気ができるため、エンジン保護にも効果的です。
車のフロントガラスが曇る原因と対策
フロントガラスの凍結は雪が降る地域や気温の低い地域で起こりやすい現象ですが、広い地域で起こるのが「フロントガラスの曇り」です。走行中に曇り出すと、視界が狭くなり事故につながる危険もあります。ここでは、フロントガラスが曇る原因、曇りを取り除く方法を見てみましょう。
曇りやすい条件
フロントガラスが曇るのは、窓ガラスに水滴が付く「結露」と同じ現象です。結露は外と中で温度差や湿度差があるときに起こり、車では冬場と梅雨時に多く見られます。
冬場に起こる結露は、寒い外気温とエアコンにより温めた車内の温度差が原因です。梅雨時に起こる結露は、ドライバー含む車に乗る人の呼吸や汗、ぬれた衣服や傘などによる湿度上昇が関係しています。
冬場や梅雨時まではいかないものの、夏場もフロントガラスが曇ることがあり、この場合も外と中の温度差が原因です。
曇りを除去する方法①:デフロスター
フロントガラスの曇りは、窓を開けて車内の温度を外の温度に合わせる、湿度を下げることで解消できますが、窓を開けられないこともあります。そのような場合は「デフロスター」を使いましょう。
デフロスターは、暖かく乾燥した空気をフロントガラス周辺に送る装置です。この暖かい空気により、フロントガラスの曇りを取り除いてくれます。デフロスターのスイッチがあるのは、エアコン関連のスイッチ周辺です。一般的には「扇形と矢印」を組み合わせたデザインですが、車種によっては「FRONT」と書かれてい場合もあります。
曇りを除去する方法②:デフォッガー
デフロスタースイッチの近くには、四角と矢印を組み合わせたデザインのスイッチがあります。これは「デフォッガー」といい、リアガラスの曇りを取る装置です。
暖かい空気を送るデフロスターに対し、デフォッガーは電熱線を使って曇りを取り除きます。リアガラスにだけ横線が入っていますが、この横線がデフォッガーの電熱線です。
熱を利用するデフォッガーはデフロスターに比べ消費電力が高いため、曇りを取り除けたらスイッチを切るようにしましょう。
車のフロントガラスの傷・ヒビの原因と対策
洗車時や運転中に、フロントガラスに小さな傷を見つけることがあります。運転に差し支えなければ大丈夫と考えがちですが、傷の具合によっては車検に通りません。また、フロントガラスの修理は高額傾向にあるため、傷が付く原因、傷つけないための対策を知っておきましょう。
傷が付いてしまう条件
フロントガラスに付く傷やヒビの原因は、多くが飛び石です。飛び石は小石だけでなく路上に落ちているネジやくぎも含まれ、前を走る車や対向車が跳ね上げた物、タイヤに挟まっていた物が飛んでくることにより傷つくケースが多く見られます。
この他に挙げられるのは、ワイパーによる傷です。ワイパーには砂埃やごみがたまりやすく、汚れた状態で使うことでフロントガラスを傷つけます。また、劣化したワイパーゴムも、フロントガラスを傷つける要因です。
傷を付けないための対策
飛び石による被害を減らすには、車間距離を開けて走ることが最も効果的な対策です。トラックなどの大型車はタイヤが太いため、飛び石が起こりやすくなります。土砂や砂利を積んだダンプカーの場合は小石などが降ってくる可能性もあるため、より広い車間距離を取る、または後ろを走らないようにしましょう。
ワイパーによる傷を防ぐには、ワイパーゴムを定期的に交換する、洗車時にフロントガラスとワイパーゴムをしっかり洗うことが効果的です。定期的に洗うことで、ワイパーゴムの寿命も延ばせます。
傷が付いてしまったらどうする?
フロントガラスの傷は、たとえ小さくても徐々に広がっていく危険性があります。傷に気付いた、走行中に傷が付いてしまった場合は、放置せずにディーラーや修理業者などに連絡しましょう。すぐに依頼できない場合の対策として、以下のような応急処置もあります。
・保護シールを破損部に貼る
ガラス用の保護シールや保護フィルムの他、セロハンテープでも応急処置ができます。破損部分の汚れや水気をしっかり取り、空気が入らないよう「傷よりも大きいサイズ」のシールを使いましょう。
・修理キットを使う
傷の内部にレジンを注入することで、傷を補修するツールです。汚れや撥水剤を取り除いてから施工する、雨の日や夜間には行えないなどの注意点があるため、初心者にはおすすめできません。フロントガラスの修理キットは、カー用品店などで購入できます。
まとめ
車のフロントには、聞き慣れたパーツもあれば、名前は知っていてもどこにあるか分からないパーツもあります。全ての名前を知らなくても走行自体はできますが、トラブルが起きた場合に素早く対処するには名称と場所を把握しておくことが大切です。
走行時の視界確保に大切なフロントガラスは、凍結や傷など目に付きやすいトラブルが発生します。安心して走行できるよう、それぞれの対処法も併せて覚えておきましょう。
▼ライタープロフィール
中村浩紀 なかむらひろき
クルマ記事に特化したライター
現在4台の車を所有(アルファード・プリウス・レクサスUX・コペン)。クルマ系のメディアでさまざまなジャンルの記事を執筆し、2024年1月までに300記事以上の実績をもっている。
豊富なラインアップのネクステージ中古車情報をチェック!
いかがでしたか。今回の記事が中古車購入を検討しているあなたの参考になれば幸いです。
ネクステージでは、他店に負けない数多くの中古車をラインアップしていますので、中古車の購入を検討されている方は、ネクステージの公式Webサイト上で最新の在庫状況をチェックしてみてください。また中古車購入に際して、ネクステージ独自の保証もご準備しております。お気軽にお問い合わせください。