法定点検と車検の時期や受ける場所や費用は?違いを徹底解説
法定点検と車検は、「自動車の状態に問題がないかどうかを確認する」という点では共通しています。しかし、法定点検と車検は同じように感じられ、いまひとつ違いが分からない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回こちらの記事では、法定点検と車検の時期や受けられる場所そして費用といったさまざまな違いについてご紹介します。さまざまな違いについての理解を深められ、それぞれの点検・検査の依頼先として最適の業者を選べるようになるでしょう。
※目次※
・法定点検と車検は似ているようで全然違う!法定点検と車検それぞれの実施目的、時期、点検項目とその数を知っておこう
・法定点検ができる場所、車検ができる場所にはさまざまな選択肢が!依頼先によって異なる特徴とは
・法定点検と車検は、安心できる毎日のドライビングには欠かせない!費用だけでなく点検・整備そして検査の品質にもこだわろう
法定点検の基礎知識
マイカーユーザー(自家用乗用車として軽自動車や普通自動車を所有する)の場合、法定点検を受けるタイミングは車検と同じであることから、車検と一緒にまとめて受けるのが一般的です。
法定点検を受ける時期の性質上、「車検と法定点検の違いがよく分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。車検との違いを把握するためにも、まずは法定点検の基礎知識について解説します。
法定点検とは
「自動車の使用者の義務」として定められている定期点検が、法定点検です。その旨を規定する法律としては、道路運送車両法第47条第1項と第48条が挙げられます。法定点検は「故障やそれによる事故の発生を予防し、安全な走行を実現する」を目的として実施し、必要に応じて整備を行わなければなりません。
マイカーユーザーの場合、「12か月点検」「24か月点検」の2種類の法定点検が使用者に義務付けられています。心当たりがない方もいるかもしれませんが、フロントガラスに丸い定期点検ステッカーがあれば、それこそ「法定点検を済ませた」という証です。
法定点検をするメリット
「自動車は走れれば問題ない。法定点検を受けずに済むのなら、出費を抑えるために受けたくない」と考える方も中にはいるかもしれませんが、法定点検には下記のようなメリットもあります。
- 運転性能や車両状態における安全性の確保
- メーカー保証が受けられる(法定点検の対象項目になっている部品やパーツなどに不具合・トラブルが発生した場合)
- 法的責任が軽くなる可能性(運転者に重大な過失がない、整備不良が起因となって発生した事故に限り)
- 将来、中古車としての査定額が高くなるチャンス
定期的に点検・整備を行えば、故障する前の初期段階で対処できる可能性もあるでしょう。車のメンテナンスにかかる費用を少しでも抑えたいのなら、初期段階で対処できるよう法定点検をおすすめします。
法定点検は義務でも罰則がない!?
マイカーユーザーの場合、法定点検を受けなくても罰則には問われません。義務付けられているものの、自家用乗用車に関しては「守らなかった場合の罰則」について規定されていません。
しかしながら、法定点検を受けなければ「メーカー保証の対象外」となる可能性があります。メーカー保証は「法定点検をクリアしたにもかかわらず、何らかの不具合やトラブルが生じた場合」を想定して設けられているため、その適用には法定点検が必要となります。
点検を行う業者、車種・車両の大きさによって差がありますが、法定点検にかかる費用は「高くても3万円程度」と車検よりも安い傾向にあります。
車検の基礎知識
法定点検よりも認知度が高いと言える車検ですが、車検の目的について詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。もちろん安全性の確保のために実施しますが、法定点検との違いとして挙げられる「受けなければ罰則がある」に注意が必要です。法定点検と車検の違いを理解するために、車検についても分かりやすく解説します。
車検とは
車検とは「走行の安全性、環境への影響をはじめとしたさまざまな保安基準をクリアした車両状態かどうか」を確認するため、決められた間隔で受けなければならない検査のことです(道路運送車両法58条)。
また、新車新規登録時に行う車検を「新規検査(道路運送車両法第59条)」、乗車を続けるために行う車検を「継続検査(道路運送車両法第62条)」といいます。
車検を通過すると発行される「車検証」には有効期限があり(道路運送車両法第61条)、有効期限が切れる前に次の車検を受けなければなりません。自家用乗用車の場合、受ける時期は「初回継続検査は新車新規登録時から3年、2回目以降は2年ごと」です。
車検を通さないと罰則がある
車検を通さずに公道を走ることを「無車検運行」といい、これには厳しい罰則が設けられています。道路運送車両法第58条第1項違反として、道路運送車両法第108条の罰則対象になるからです。こうした罰則の有無は、法定点検と車検の大きな違いと言えるでしょう。
無車検運行の罰則・罰金は、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路運送車両法第108条)」です。無車検運行は非常に危険な行為と見なされるため、罰則は厳しい内容になっています。有効期限が切れる直前になって慌てないよう、余裕を持って車検を受けるようにしましょう。
車種ごとの点検時期や点検項目数の違い
車検では、「決められたタイミングできちんと受ける」「車検の有効期限を切らさないように受ける」といった心掛けが大変重要です。そこで、こちらの項目では「点検時期・項目数の違い」を車種別でご紹介します。点検時期・項目数の違いを知っておけば、点検・車検を受けるときのスケジュール管理・代車依頼の検討に役立てられるでしょう。
法定点検の場合
法定点検では、対象車種によって点検の時期・点検項目数が異なります。それぞれで異なる点検時期、時期によって違う点検項目数をまとめました。点検の時期の長さ、万が一の場合に生じる危険性の高さに比例して、項目数が多くなっていると言えるでしょう。
対象車種 |
点検の時期 |
法定点検の点検項目数 |
マイカー (自家用乗用車、軽自動車) |
法定12か月点検 |
26項目(11) |
法定24か月点検 |
56項目(18) |
|
中傷トラック(自家用) レンタカー(乗用車) |
法定6か月点検 |
22項目(5) |
法定12か月点検 |
82項目(7) |
|
バスやタクシー(事業用) レンタカー(乗用車以外) 大型トラック(自家用) |
法定3か月点検 |
50項目(16) |
法定12か月点検 |
99項目(16) |
|
二輪自動車 |
法定12か月点検 |
33項目(11) |
法定24か月点検 |
51項目(11) |
※「法定点検の点検項目数」でのかっこ内の数値は、走行距離が規定以下(マイカー:年間5,000km、事業用自動車:3か月間当たり2,000kmなど)で、前回の点検を行っている場合に限り、点検を省略できる項目数です。
不特定多数の命に関わるバスやタクシー、万が一の場合周りに及ぼす影響が大きいトラックなどの事業用自動車はこまめに法定点検を行うよう義務付けられています。これらの事業用車両は、法定点検を行わなければ罰則に問われる(道路運送車両法第110条)のもマイカーとの違いでしょう。
車検の場合
「車検の時期は、初回と2回目以降で変わる」という車検の時期に関しては、先述の通りです。2回目以降は一定間隔での実施ですが、車種ごとに初回実施時期や2回目以降の間隔が異なります。代表的な車種をピックアップし、それぞれの有効期限を下記の表にまとめました。
|
車検の有効期間 |
|
対象車種 |
初回 |
2回目以降 |
マイカー(自家用乗用車、軽自動車) |
3年 |
2年 |
軽貨物自動車 |
2年 |
2年 |
大型特注自動車(自家用) |
2年 |
2年 |
バスやタクシー(事業用) |
1年 |
1年 |
二輪自動車 |
3年 |
2年 |
車検には、法定点検のように点検項目数の詳細まで規定されていません。こうした性質により、車検を受ける場所ごとで項目数に大きな差があるのも事実です。
項目数が多いほど点検でチェックする箇所が多く「丁寧&安全性が高い検査」となりますが、同時にコストが高くなる傾向にあります。一方、チェックする項目数が少ないほど安価ですが、安全面に不安が残るのも否めないでしょう。
法定点検と車検の受けられる場所の違い
法定点検と車検を受けられる場所には、さまざまな選択肢が存在します。受ける場所それぞれに特徴がありますから、目的や予算に最適な場所で受けるようにしましょう。こちらの項目では、「法定点検ができる場所」と「車検ができる場所」について分かりやすく解説します。
点検・検査を受ける場所の特徴を知れば、「出費を抑えたい」「安心できる点検・検査を受けたい」「スピーディーに済ませたい」などの目的に応じた選択が可能でしょう。
法定点検ができる場所
場所 |
おすすめできるケース |
ディーラー |
丁寧で高品質な整備で安心したい場合 定期点検整備記録簿を発行してもらいたい場合 |
指定整備工場、認証整備工場 |
|
カーショップ、車検専門業者 |
より安く法定点検を受けたい場合 |
ガソリンスタンド |
新車新規登録時から時間がたっていない場合 走行距離が少ない場合 |
法定点検ができる場所、場所ごとの「おすすめできるケース」は上記の通りです。定期点検整備記録簿とは、法定点検の結果、整備内容、検査実施年月日、検査を実施した業者名などを記録・保存するための書類を指します。
定期点検整備記録簿は、国から認証を受けたディーラーや指定整備工場・認証整備工場など国が認証した整備を受けられる場所でのみ発行可能です。安全性の確保を目的とするのなら、「定期点検整備記録簿を発行できる場所」に依頼するとなお良いでしょう。
車検ができる場所
場所 |
メリット |
デメリット |
ディーラー |
点検・整備が高品質 |
費用が高価な傾向にある |
車検専門業者 |
点検・整備がスピーディーかつ高品質 |
ディーラーよりは安価ではあるものの、他よりも高価 |
指定整備工場 |
点検・整備がスピーディーかつ高品質 費用も比較的安価 |
他に依頼者が多い場合には希望日に予約できない |
認証整備工場 |
点検・整備が高品質 費用も比較的安価 |
点検・整備を終えるまでに時間がかかる |
カーショップ |
費用が比較的安価 |
点検・整備の品質はディーラーや車検専門業者・整備工場に劣る傾向にある |
ガソリンスタンド |
費用が比較的安価 |
整備工場がない場合には委託することになり、時間がかかる 点検・整備の品質にばらつきがある |
車検を受けられる場所とそれぞれのメリット・デメリットは上記の通りです。先述の通り、車検の点検項目数には決まりがありません。「希望する車検の品質」「車検を終えるまでのスピード感」そして「車検代の料金」それぞれのバランスを考慮して最適な場所に依頼しましょう。
法定点検と車検の費用相場の違い
法定点検と車検の費用は、その内訳や金額に大きな違いがあります。法定点検では点検に関する技術料や人件費などを支払うだけであるのに対し、車検代では車検時に数年分の税金や保険料をまとめて支払うからです。こちらの項目では、法定点検と車検の費用相場の違いについて見ていきます。
なお、依頼先や所有車の種類によって費用が異なりますから、今回記載した費用の相場はあくまでも参考程度にし、具体的な費用に関しては依頼先に確認するようにしましょう。
法定点検にかかる費用
法定点検にかかる、おおよその平均価格を下記の表にまとめました。軽自動車、普通自動車、大型車はどれも12か月点検の費用は低めで、それぞれの差も少ないように感じられます。また、24か月点検では点検項目数の多さから、12か月点検のおよそ2倍の料金が発生する傾向にあると言えるでしょう。
車種 |
12か月点検の平均価格 |
24か月点検の平均価格 |
軽自動車 |
1万1,000円程度 |
2万5,000円程度 |
普通車 (1.0L~2.0L) |
1万2,000円~1万4,000円程度 |
2万5,000円~3万円程度 |
大型車 (2.0L~) |
1万5,000円~1万7,000円 |
3万円1,000円~3万6,000円前後 |
※あくまでも平均価格であり、車種・メーカーによって価格が異なります。
法定点検の結果、もし修理が必要だと判断された場合には、メンテナンス料金が発生します。メンテナンス料金は、その内容によって違うでしょう。
点検を依頼する業者によっては、点検料金に関する各種割引サービスを展開するところも多く存在します。そうしたサービスも加味しつつ、点検の品質と料金のバランスを考慮して選ぶと良いでしょう。
車検にかかる費用
車検代を構成する費用は、大きく分けて「法定費用」と「車検基本料・諸費用」の2種類に分けられます。法定費用は、「車検を依頼する業者に関係なく、一律の金額が発生する費用」です。「車検基本料・諸費用」は依頼する業者、交換・修理の有無によって異なります。また、これら2種類の費用それぞれの内訳は下記の通りです。
車検代の大まかな内訳 |
|
法定費用 (車検の依頼先がどこであっても同額) |
車検基本料、諸費用 (車検の依頼先によって金額が異なる) |
・自賠責保険料 ・自動車重量税 ・印紙代(検査手数料) |
・車検基本料 ・事務手数料 ・部品交換費用(部品の交換が必要な場合) ・修理費用(修理が必要な場合) |
車種、車両重量、環境性能など各車両によって車検代は異なりますが、自家用車ならだいたい10万円以上、軽自動車だと7万円以上が相場とされています。
まとめ
法定点検と車検は、実施目的や時期そして点検項目数が異なるものの、「安全性の確保」という点では共通すると言えるでしょう。法定点検と車検はどちらも場所によって品質や費用に大きな差があるため、点検整備の品質と費用とのバランスを考えて依頼先を検討したいところです。
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